足の悩み、一挙解決

自分で選ぶ、巻き爪の治療(足のクリニック表参道 山口健一医師) 【PART2】第4回

 ◇治療をすべき爪とは

 巻き爪とひと口にいっても、その状態によって最適な対処法は異なります。

 今まで、医療機関で治療を受けても、さまざまなケアグッズを試してみても、うまくいかなかったという人は、まず自分の爪の状態を客観的に知ることが大切、ということを第3回の記事でお伝えしました。

巻き爪は必ずしも治療の必要があるわけではないが、さまざまなトラブルの原因になりやすい

巻き爪は必ずしも治療の必要があるわけではないが、さまざまなトラブルの原因になりやすい

 爪が巻いていたからといって、必ずしも治さなければいけないというわけではありません。爪が巻いた状態でも、日常生活に支障がなければ、必要に応じて爪をきちんと切るなどのセルフケアで十分でしょう。ただ、丸まった状態の爪を切るのは難しく、脇の爪を残してしまいがちです。すると、残った爪がトゲのように脇の皮膚や肉に刺さり、そこから感染を起こし膿んでしまうこともあります。自分でできない場合は、医療機関で切ってもらうことも考えましょう。「わざわざ爪を切ってもらうなんて」と思うかもしれませんが、私の診療所では巻き爪のフットケアのために受診する人がたくさんいます。

 特に痛みはないとはいっても、巻いた爪ではペディキュアもできないし、サンダルを履くのも恥ずかしい、プールや温泉で素足になるのが嫌だ、など見た目が気になる場合もあるでしょう。この場合は、ワイヤフックを使った矯正(VHO)が適しています。

 巻き爪で痛みがあっても、爪の脇に傷ができてなければVHOで対応できます。ただし、傷による炎症が起きて肉芽(にくげ)ができている場合は、巻き爪ではなく陥入爪の状態なので、まず飲み薬や軟こうで炎症を抑え、傷の原因になっている爪の不要な部分を取り除きます。炎症が治まれば、VHOで矯正する方法を検討します。炎症が長引いて痛みが続く場合は、外科手術を考えます。

 ◇ワイヤで矯正

 巻き爪の矯正方法には爪の表面にプレートを貼る方法などいろいろありますが、最も確実なのは、VHOというワイヤを使った矯正法です。爪の両端にフックをかけ、ワイヤで引っ張って爪を平らにしていきます。簡単な手順でできますが、フックをかける位置や針金の微妙な張り具合には細心の注意を払います。

 【VHOのやり方】

 (1)爪の状態を観察します。爪が分厚くなっている場合は矯正しづらいため、爪の表面を全体的にグラインダーで削り、爪本来の厚みにします。

 (2)特殊な金属でできた針金でフックを作り、爪の両端に装着します。フックワイヤの長さや厚みは、その人の爪に合わせて作ります。当院では、あらかじめいくつかのパターンで作り置きをしています。こうすると、装着するときに微調整するだけでいいので、治療時間の短縮になります。

 (3)爪の両端に装着したフックに、矯正用の針金を通し、ねじり寄せるようにして巻き上げます。左右のフックを巻き上げることで、テコの力が加わり、爪が平らになってきます。このとき、ワイヤが爪に食い込まないよう気を付けます。

 (4)ワイヤを巻き上げ終えたら、余分なワイヤをカットします。

 (5)切りっぱなしの状態だとワイヤの端が靴下やストッキングに引っかかってしまうため、ジェルネイルに使用するレジンを爪の表面のワイヤの上に乗せ、硬化用のブルーライトを20秒ほどあてて固めます。

 (6)固まったジェル表面のベタつきをアルコール綿で拭きとり、ワイヤがきちんとカバーできていることが確認できたら終了です。

 (7)2カ月後の診察まで自分で爪を切らないよう指導します。

 (8)爪が伸びたらワイヤを付け替えます。2~3カ月ごとの受診で2回付け替えたら終了です。

 VHOは保険適用外なので自費となり、当院では13000円です。医療機関以外のところでも行っており、金額もマチマチです。

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