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関節に炎症が起こり、痛みや腫れが生じてやがて変形することもある関節リウマチ。この20年間で薬による治療が大きく進歩し、発症早期から適切な薬を使えば関節の破壊を食い止められるようになった。近年はJAK阻害薬という新たな内服薬が複数加わり、普及し始めている。北里大学病院(相模原市)膠原(こうげん)病・感染内科の山岡邦宏科長に聞いた。
関節リウマチの治療に用いられるJAK阻害薬
▽注射薬と同程度の効果
関節リウマチは、本来は外敵から体を守る免疫機構の暴走が原因で発症する。国内患者数は60万~100万人と推定され、30~50代の女性が発症することが多い。
治療薬の基本は、免疫の暴走を抑えるメトトレキサート(MTX)という内服薬。効果不十分な場合、関節の炎症に関わる物質にピンポイントで結合して、その働きを抑え込む抗体医薬(バイオ製剤)を追加するのが一般的だ。ただし、バイオ製剤は通院して、または在宅で注射を続ける必要があるなど手間や痛みが伴う。
2013年から、免疫を抑制する方向に調節するJAK阻害薬という新たな内服薬が登場し、バイオ製剤と遜色ない高い効果を示している。すでに5種類が承認されているが(20年9月末時点)、薬効に大きな違いはないと考えられるという。
山岡科長によると、JAK阻害薬登場の意義の一つは、MTXとバイオ製剤を使っていても効果がなくなった人の有効な治療法になること。もう一つは、MTXの次の治療としてバイオ製剤かJAK阻害薬を選べるようになったことだ。
「特に、比較的若い患者(妊婦を除く)、出張が多いなど社会的活動性が高い患者はJAK阻害薬の方がよいのではないか」と山岡科長。治療を続け、関節痛などの症状がない状態(寛解)を半年くらい維持することができたら、JAK阻害薬の量を減らせる可能性もあるという。
▽副作用の帯状疱疹に注意
主な副作用として、ピリピリする痛みとともに皮膚に小さな水膨れがまとまって表れる帯状疱疹(ほうしん)がある。JAK阻害薬を開始する際は、事前に帯状疱疹予防ワクチンを注射し、痛みなどの異変を感じたらすぐに受診するなど注意が必要だ。
一方、JAK阻害薬は免疫を抑えるため、がんの発生率を高めるとの懸念もあるが、山岡科長は「一般的な発生率よりもがんが増えるというデータは報告されていません」と説明する。薬剤費はバイオ製剤と同水準で1カ月約15万~16万円(3割負担なら約4万5000~4万8000円)に上るが、公的医療保険の高額療養費制度などを利用すれば、自己負担が軽減される場合もある。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/02/13 05:00)
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