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顔に現れるしみと呼ばれる色素疾患には老人性色素斑、そばかす(雀卵斑)などがあるが、「肝斑(かんぱん)」もその一つだ。頬骨の上に左右対称に現れる境界が不明瞭な茶色の色素斑で、女性に多く見られる。しみは大きさや形、位置などがさまざまで、皮膚科医でも鑑別が難しいこともある。日本医科大学付属病院(東京都文京区)皮膚科の船坂陽子教授に聞いた。
肝斑とは
▽紫外線が影響
肌の表皮には色素細胞(メラノサイト)が存在し、この細胞に紫外線が当たると紫外線から肌を守るためにしみの元になるメラニンを作り出す。
肝斑は女性ホルモンとの関連や遺伝的素因などが背景にあるが、紫外線が引き金となって現れる。「紫外線量が増える初夏に発症しやすく、経口避妊薬などの女性ホルモン剤を服用している人や30~40代の人に多いのが特徴です」と船坂教授。これに対し、紫外線を長年浴びることで中高年以降に増える老人性色素斑は境界のはっきりした円形の褐色のしみだ。
肝斑を予防する上で大切なのは、紫外線対策とスキンケア。「真夏以外でも日焼け止めクリームなどを塗り、汗をかいた時は塗り直しましょう。また、肌への刺激で皮膚のバリアー機能が低下すると、メラニン色素が過剰に作られてしみができやすくなります。洗顔時にはせっけんを泡立てて優しく洗い、洗顔後は保湿を十分行いましょう」と説明する。
▽しみの合併例は要注意
肝斑は完治しないが、遮光に加え、トラネキサム酸と美白外用剤のハイドロキノンで治療すれば改善は可能だ。ただし、トラネキサム酸は血栓症、ハイドロキノンは高濃度で使うと白い斑点(白斑)やかぶれが生じることがある。「かぶれやすいなどの理由でハイドロキノンが使えない場合は、弱いレーザーによる治療(レーザートーニング)も選択肢の一つです」と船坂教授。
肝斑の上に老人性色素斑が生じる例もある。「肝斑に気付かず、老人性色素斑の治療で使う強いレーザーを当てると、肝斑が悪化したり白斑ができたりする危険性があります。日本皮膚科学会の美容皮膚科・レーザー指導専門医や日本レーザー医学会のレーザー専門医など、肝斑の治療に精通した医師の下で治療を受けましょう」とアドバイスする。
肝斑は閉経で女性ホルモンの影響が少なくなると改善するケースが多いが、重症例では見た目から精神的な負担も少なくない。顔に広い範囲にしみができて悩んでいる人は専門医に相談してほしい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/02/19 05:00)
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