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新型コロナウイルスの感染が収まらない。政府は再び、緊急事態宣言を出し、飲食店などの時短や不要不急の外出を控えることなどを強く求めた。患者数の急増は医療現場を追い込み、入院が必要な患者が自宅待機を強いられるなど、深刻な事態を招いている。日本感染症学会理事長の舘田一博・東邦大学教授は「感染拡大の進行状況次第では、さらなる対策が必要だ」と話す。
緊急事態宣言が出され、明かりが消えた福岡・中州の飲食店街
◇1月末が判断の節目
乾燥と低温を好むコロナウイルスの性質から、冬季に一定の感染拡大は以前から予想されていたが、2020年12月後半から21年1月にかけて、感染者は予想を上回るほど急増した。
舘田教授は「昨年12月のクリスマスから年末年始にかけての会食など、感染リスクの高いイベントが増加したことが大きい。英国などで発見された変異株は、時間的な条件を考えれば、現時点での影響は限定的と考えられる」と分析。同時に、「感染から発症して検査を受け、結果が判明するまで10日から2週間のタイムラグが出る。1月末までに効果が出なければ対策の見直しなどが必要となる」と指摘する。
緊急事態宣言が出されてから初の週末を迎えた大阪・道頓堀
◇トライアル・アンド・エラー
コロナ対策が有効かどうかを測る一つの目安は、東京都の1日の感染確認者数だ。「感染者が1日2000人を超える日が続くようであれば効果は限定的、同1000人を下回る日が継続できれば一定の効果を上げたと評価できるのではないか」と話す。ただ、これはあくまでも感染拡大の勢いに関する評価であり、緊急事態の解除についての指標ではない。現行の施策で良いかどうかを判断する際の物差しだという点に注意したい。
現行の緊急事態宣言について舘田教授は「最初から昨年の宣言と同じように多くの業界に休業を要請していれば、人出は抑えられただろうが、経済への影響も無視できない。今回の宣言での規制で効果が出なければ、途中で見直して強化していく。新型コロナという新しい病気に対しては、対策も『トライアル・アンド・エラー』にならざるを得なかったのではないか」と言う。
「緊急事態宣言の期限である2月7日になっても患者数に明確な減少傾向が認められなければ、継続措置が必要になるだろう。また、宣言の期間内でも患者増加に歯止めが掛からなければ、より厳しい対策を速やかに始める必要がある」
◇ワクチン接種は大きな成果
今後の予防対策のカギとなるワクチンについては「ウイルスが確認されてから1年以内でワクチンが開発され、接種が始まったのは大きな成果と言える。一定数の人々が接種を受けた米国やイスラエルからの報告によれば、効果はある程度、期待できそうだ。国内でも、次の冬までには一定規模で接種が実施されているだろう」と話す。
その上で重症患者向けが中心の治療薬に関して「感染者の多くが軽症で終わるが、この段階でも周囲にウイルスを飛散させる。ウイルスの飛散を防ぐには、発症直後に手軽に投与でき、副作用が比較的少ない内服薬が欠かせない。重症者向けとは別に、インフルエンザのタミフルのように手軽に処方・投与できる薬が出れば、感染対策は大きく変わってくる」と、期待している。(了)
(2021/01/27 05:00)
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