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首から肩、腕にかけて痛みやしびれがあるが、明らかな病気が見つからない。そうした場合に疑われるのが頸肩腕(けいけんわん)症候群だ。国立病院機構村山医療センター(東京都武蔵村山市)の谷戸祥之院長(整形外科)は「パソコンの長時間作業などによる筋肉の使い過ぎが原因です。同じ症状が表れる重い病気もあるため、整形外科で正しい診断を受けることが大切です」と指摘する。
▽筋肉の血流が悪化
頸肩腕症候群は、デスクワークが多い事務職、特に30代の女性に多く見られるという。「首、肩、腕の筋肉が全体的に硬直して血流が滞り、痛みなどが表れます」。手を集中的に使うパソコン作業などを長時間同じ姿勢で続けると起きやすい。
「重大な病気と症状が似ていることに注意が必要」と強調する。例えば、骨と骨の間のクッションの役割を果たす椎間板がつぶれてはみ出す「椎間板ヘルニア」、背骨の中の神経の通り道が狭くなる「頸椎症」、骨と骨を結ぶひものような靱帯(じんたい)が硬い骨に変化する「後縦靭帯骨化症」などだ。
いずれも変形した骨などが神経を圧迫して痛みが生じるが、初期症状は肩凝り、首の痛みなどで、頸肩腕症候群の症状と同じだ。進行すると神経の圧迫が強まり、手のしびれ、手をうまく使えないといった症状が表れる。「中には手術しないと改善しない病気もあります。特に手のしびれや、物を触って違和感がある、箸が使いにくいなどの場合は自己判断せずに整形外科医を受診しましょう」
▽正しい姿勢と休憩を
診断が確定したら、患部を使い過ぎないよう気を付けると同時に、前かがみの姿勢を避けて正しい姿勢を保ち、作業の合間に休憩を入れる。首や肩関節の周囲の体操も心掛けたい。
体操では▽両肩を上下に動かす▽両腕を回して肩を動かす▽首をゆっくりと回す―といった方法がある。医療機関でホットパックなどを用いた温熱療法もあるが、入浴して患部をゆっくり温めても効果的だ。
こうした対処法でも、つらい症状が残る場合は薬物療法の対象になる。「最初は消炎鎮痛剤が含まれる湿布を用い、改善しなければ痛み止めや筋肉の緊張を和らげる飲み薬を使います」と谷戸院長。ただし、原因となる動作や姿勢を見直して体にかかる負担を減らすことが治療の基本だ。発症や再発予防にもなるという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/07/23 05:00)
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