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コロナやテレワークから目を守る方法は
「温める?冷やす?」「洗うはOK?」 井手武・東京ビジョンアイクリニック阿佐ケ谷院長

 在宅勤務の人が増え、自宅でパソコン作業をする人から「目が疲れて、頭が痛くなる」との悩みを聞くことが多くなりました。会議もビデオ会議になり、必然的に目を休める時間が少なくなっているようです。

 こうした眼精疲労は、どうすればいいのか。その対策について、東京ビジョンアイクリニック阿佐ケ谷院長の井手武先生にお話を伺いました。

自宅でテレワークをする日立製作所の社員[同社提供](本文と直接関係はありません)【時事通信社】


 ◆自宅パソコン周りの環境整備

 海原 在宅勤務をしたことがある人でも、今回のような長期の経験は初めてという人が、ほとんどだと思います。そもそも自宅は、仕事をする環境になっていない人が大半で、そうした作業環境から、疲労も増えると思います。

 井手 作業時間や作業量については、皆さんの裁量では、どうしようもないことが多いので、今回は皆さんが自宅で現実的にできそうなものを取り上げます。

 〔照明など〕

 明暗の対照が著しくない室内照明にする

 太陽光が差し込むときは、窓にカーテンやブラインドをする

 これは、明る過ぎたり、明暗の差が大き過ぎたりすると、縮瞳反応で眼精疲労や頭痛が出現しやすいことに対応するためです。

 〔パソコン機器・タブレット・スマートフォン〕

 輝度やコントラストを調節する

 位置や向きを調整する

 マウスを使いやすいものにする

 こうした工夫も、筋骨格系の問題(こり、腰痛、頸肩腕=けいけんわん=症候群、手根幹症候群など)を防ぐために必要です。

 〔椅子・机・姿勢・運動〕

 安定して座れ、移動しやすいものを使う

 足は足裏の全体が接するようにする

 座面の高さや背もたれを調節する

 机の下は脚が動かせるような広さを保つ

 長時間同じ姿勢にならないよう、時折立ち上がるか、立ち作業をする

 ディスプレーは眼から40センチ以上の距離にし、画面の上端は眼の高さまでにする

 ディスプレーが高い位置にあると、開瞼(かいけん)面積が大きくなり、ドライアイになりやすいのです。

 これらのエッセンスを抽出すると、「目・肩・腰に〇〇〇」という製薬会社のCMがあるように、目、肩、腰に優しいものをという基準で、まずは対応するのがよいと思います。

 海原 家では、環境をオフィス並みに整えるのが難しいことが多いですが、新型コロナ感染の第2波も懸念されていて、在宅勤務が増える可能性もありますから、最低限、できる対処はしておきたいですね。

 井手 自分の裁量で作業量を決められないことも多いと思いますが、作業のペースなどに気を付けて、肩こりが起こる前に予防しておきたいものです。

 ◆眼精疲労による疾患

 海原 眼精疲労がひどくなって起きる目の病気はありますか。最近、ビデオ会議などでパソコンを使う時間が増え、結膜浮腫を起こした人がいます。

 結膜がぶよぶよになり、黒目が飛び出たような感じになった、と本人もびっくりしていました。こうした疾患は、疲労と関係があるのでしょうか。

 井手 一言でいうと、「関係ないとは言えない」という表現になるかと思います。

 しかし、この「関係」という言葉に注意が必要です。因果関係と相関関係があるからです。

 眼精疲労による一時的なピント調節機能の低下は、因果関係があると言えそうです。逆に、老眼であれば、ピント調節機能の低下によって、易疲労性や眼精疲労という因果の逆転、または相関関係と言えるかもしれません。

 眼精疲労と結膜浮腫に関しては、疲労による体力低下や免疫力の低下によって、眼精疲労と結膜浮腫が起こったという(疑似)相関関係かもしれませんね。

 ですので、眼精疲労を引き起こす仕事環境が、他の疾患にも関係するということがあるかもれません。


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