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高齢者にとって認知症は恐ろしい病気と考えられているが、認知症を正しく理解することで適切な治療・サポートを受けることができる。しかし、過剰に恐れる傾向もあり、認知症に対する意識などを調査した弘前大学大学院(青森県弘前市)保健学研究科の大庭輝准教授に聞いた。
▽発症に強い恐れ
調査対象は、国内のある大学病院に通院する患者や同伴者の217人(平均64歳)。認知症に対する印象や診断の受け止めなどについて聞いた。
「最も恐れる病気は何か」との問いに、最多は「がん」の44%だったが、次いで多かったのが「認知症」の18%だった。その理由については「生活上の問題や法的な問題、感情的・社会的影響を挙げた人が多かった」と大庭准教授。
また、「認知症がある人の割合(有病率)は何%くらいだと思うか」との問いへの回答を平均すると、「65歳までの有病率」は18%、「85歳までの有病率」は44%だった。
大庭准教授は「2013年の厚生労働省の報告に基づく実際の有病率は65~69歳で1.5%、85歳で27%です。年齢の幅が今回の調査と異なるものの、実際より有病率がかなり高いと思っている人が多いです」と分析する。
▽配偶者に診断を知らせたくない
「認知症になった時にできるだけ早く診断を知りたいか」との問いには、回答者自身の結果なら「知りたい」が96%だったが、配偶者の場合は68%にとどまった。配偶者に診断結果を早く知らせたくない理由(複数回答)は、「できる限り普段通りに生活するため」(76%)、「不必要な心配を避けるため」(74%)だった。
「認知症を正しく知ることが、怖い病気というイメージを変えるために大切です。早期に発見、診断されれば、治療やサポートを早く受けることができ、さらに、判断能力があるうちに財産管理や今後の生き方を考え、家族と話し合う時間をつくることができます」と大庭准教授。
「自分でも配偶者でも、認知症が疑われたら早めにかかりつけ医に相談するか、物忘れ外来を受診するとよいでしょう。医療機関が分からない場合は自治体の地域包括支援センターで相談してください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/12/05 05:00)
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