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未発達な段階の永久歯の成長が虫歯などが原因で止まった場合、もろくなって割れたり感染症になったりすることがある。それを防ぐための歯の根(歯根=しこん)の再生療法(再生歯内療法)について、日本歯内療法学会指導医・専門医で鶴見大学歯学部付属病院(横浜市)の細矢哲康教授に聞いた。
▽丈夫な歯になるには
歯根が成長段階にある永久歯を「歯根未完成歯」と言う。成長には歯根の中を通る神経(歯髄=しずい)が重要だが、虫歯などが原因で歯髄が死ぬと歯根の成長も止まる。成長が止まった歯根未完成歯は強度が低く、割れやすい。ヒトは6~14歳で乳歯から永久歯に生え替わり、一生使うので、丈夫さが求められる。
細矢教授によると、丈夫な永久歯には歯根の成長が欠かせないが、歯髄が死んで成長が止まった状態を「生活力を失った歯根未完成歯」と呼ぶ。この状態の歯はもろく、感染を起こすこともあり、ひどい場合は抜かなければならない。
しかし、抜歯は最終手段で、歯数の確保、歯列の安定、かむ機能を維持するために抜かずに、歯根の感染を防ぐセメントを詰めて閉鎖する治療が一般的だ。ただ、この治療では歯根の成長は望めない。
▽血管や歯髄が再生
そこで、歯根の成長を可能にする治療法として考え出されたのがリバスクラリゼーションと呼ばれる再生歯内療法だ。国内の歯科医が2001年に初めて報告した治療法で、現在は世界中で行われている。
細矢教授によると「歯根の先端の周りを刺激して、そこから出た血液を歯根の内側にある根管に満たします。痛みはほとんどありません。続いて、根管をセメントでふさぎ、歯冠(しかん=歯ぐきから出ている部分)の穴などを修復し、血液が漏れ出ないようにします」。
「そうすると、血液が固まったもの(血ぺい)が足場となって、根管内に血管組織などが生えてきて、次第に血液循環が回復します。歯髄の再生も期待できます」。こうした組織の再生により「歯根の成長が再開され、歯の強度も増してきます」と説明する。
細矢教授は「早期であるほど治療効果は高いです。永久歯に生え替わる頃に、歯の腫れや痛みを感じたら、できるだけ早く歯科医に診てもらいましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/12/10 05:00)
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