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東京五輪で猛暑の影響が心配されたように、スポーツ選手の心身の健康に関心が集まっている。中でも貧血は以前から注目されており、疲れやすいなどの症状が表れる。スポーツ選手の健康管理に詳しい杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)整形外科の林光俊医師に聞いた。
血液検査などで原因を探ろう
▽マラソンや剣道で
鉄とたんぱく質でできていて、全身に酸素を運んでいる赤血球中のヘモグロビンなどが基準値よりも少ないのが貧血だ。このうち、スポーツが原因で起こるのが「スポーツ貧血」で、マラソン、バレーボール、剣道などで見られるという。
原因は、大量の発汗に伴う鉄分の喪失、競技の動作での衝撃による赤血球の破壊、体づくりに必要な鉄量の摂取が追い付かないことなどがある。
種目やレベルで異なるが、男子の10%、女子の約20%が該当するとされる。トップレベルの選手ほど練習時間が長く、ハードになるため、貧血のリスクも高まる。月経のある女子はなおさらだ。
貧血になると、必要な酸素が全身に行き渡らないため、疲れやすい、倦怠(けんたい)感、息切れなどの症状が表れる。競技成績の低下にもつながるが、「指導者や保護者に予備知識がないと、逆に練習を厳しくしたり、励ましたりしかねない」と林医師は懸念する。
▽まず運動量を減らす
「やる気はあるのに力が出ない」「練習はできるが、それ以外では横になりたいほどだるい」なら、医師の診察を受けるのがよい。貧血以外でもそのような状態になるので、血液検査などで原因を探ることが重要だ。
スポーツ貧血と分かれば、対処法は「練習時間を減らしたり、強度を下げたりして運動量を減らすことです」(林医師)。同時に、食事から十分に鉄分を摂取できるよう工夫する。
効果が表れるまで2~3カ月は見ておいた方がよい、と林医師。選手にとって、思う存分練習ができないのは不安だろうが、同じ状態を繰り返さないための大切な期間といえる。
貧血の程度によっては、医師の指示により内服薬や注射で鉄分を補給する。その場合も、「練習のやり方や食事を変えることは貧血の再発予防になるので、意識して続けてほしい」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/09 05:00)
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