血液検査

■一般的な血液検査
 がんが小さいうちは、がんの存在を一般的な血液検査だけで診断することは困難です。胃がん、大腸がんなどのように、消化管の内腔(ないくう)に発生するがんでは、がんが大きくなると表面から出血し、それが継続すると貧血になります。
 貧血の有無は血液検査で容易にわかりますが、貧血の原因を検索しているうちにがんが発見されることもしばしばあります。大腸がんでは、便に血液がまじるようになるので、肉眼的に出血がわかることもあります。また、便に血液がまじっているか調べることで、消化管の出血があることを知ることもできます。肺がんでは血たんが、膀胱がんや腎がんでは血尿が発見のきっかけとなります。
 膵(すい)がんや胆道のがんでは、胆管が狭窄(きょうさく)すると胆汁の流れがわるくなり、血液中のビリルビンなどが上昇するようになります。高度になると、黄疸(おうだん)として認識できます。ただし、胆管に結石ができた場合にも、血中のビリルビンが上昇したり、黄疸が発現したりするので、これだけでがんとは断定できず、精査が必要になります。
 がんが高度に進行すると、栄養状態も悪化するので、血液検査で低たんぱく血症(総たんぱくやアルブミン)となることがあります。また、肝臓にがんが転移して増大すると、肝機能に異常が出てくることもあります。このように一般的な血液検査でがんがわかることもありますが、異常があっても必ずしもがんではなく、ほかの良性疾患による異常である可能性があります。つまり、一般的な血液検査ではがんを特異的に診断することはむずかしいのです。

■腫瘍マーカー
 血液中の腫瘍マーカー測定は、がんを特異的に診断できる検査です。がんの種類ごとにつくられる腫瘍マーカーは違いますし、同じがん腫でも腫瘍マーカーを大量に産生するものから、ほとんど産生しないものまでさまざまです。胃がん、大腸がん、膵がんなど消化器のがんで増加するCEAやCA19-9、皮膚がんなどで産生されるSCC、前立腺がんで上昇するPSAなどが代表的な腫瘍マーカーです。ただし、これらのマーカーは正常でもわずかに産生されており、真の意味で腫瘍特異的なマーカーとはいえません。
 比較的腫瘍特異的なのはアルファフェトプロテイン(AFP)で、肝細胞がんなどで上昇します。AFPはもともと胎児期に肝細胞でつくられますが、肝細胞が分化するとともにAFPをつくらなくなります。肝細胞ががん化すると、がん細胞は肝細胞が胎児期につくっていたAFPをふたたびつくるようになり、それが血中に出現するようになるのです。
 腫瘍マーカーの上昇があっても、必ずしもがんに罹患(りかん)しているとは限りません。たとえばヘビースモーカーではCEAの上昇が認められますし、胆管炎や膵炎でもCA19-9の上昇が認められます。また、腫瘍マーカーが上昇しても、病巣がどこにあるのかわからなければ、治療することはできません。腫瘍マーカー測定は、あくまでもがん診断の補助的な検査なのです。ただし、抗がん薬や放射線治療中に腫瘍マーカーの推移をみることで、ある程度治療効果をモニタリングできるので、がん治療中や治療後の経過観察にも用いられています。