治療・予防

自己治癒力高める注目の治療法―PRP療法
筋肉やけん、関節にも(順天堂大学医学部付属順天堂医院 小林洋平医師)

 PRP(多血小板血漿=けっしょう)療法は、患者の血液から血漿成分を取り出して患部に注入する治療法で、組織の治癒力を高める効果があるとされている。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)整形外科・スポーツ診療科の小林洋平医師は「PRP療法は、近年かなり注目されている治療ですが、効果には個人差があります」と話す。

けがや加齢に伴う関節の痛みに対して行う治療

 ▽安全性高く簡便

 血液中の血漿成分には、成長因子と呼ばれる組織の修復に関与する物質が豊富に含まれていて、傷んだ組織を修復する、炎症を鎮めるといった役割を果たしている。PRP療法は、患者自身の血漿成分を、傷んだ筋肉やけん、関節などに注射し自己治癒力を高めるというもの。小林医師は「治療できるのは厚生労働省の認可を受けた施設に限られます。自費診療ですが、けがや加齢に伴う関節の痛みに適応できます。当院では現在、1回の治療(片方の膝)に予約料を含め4万円前後かかりますが、自由診療ため料金は医療機関や使用しているキットによって大きく異なります」と話す。

 もともとは歯科口腔(こうくう)外科で下顎骨(かがくこつ)の再建に利用されていた治療法だが、後に美容や皮膚科領域へ広がった。同院では2011年からスポーツ選手のけがを早期に治療する目的で取り入れている。その後、変形性膝関節症などの関節疾患患者にも使われるようになり、現在ではPRP療法を受ける患者の約9割を占めるという。「患者自身の血液を使うので安全性が高く、当院ではその日のうちにPRPが抽出でき、簡便性も高いという特徴があります」と小林医師。

 ▽効果には個人差も

 同院では患者の血液を20cc採取して、膝関節の場合は4~5cc、けんや靱帯(じんたい)であれば1~2ccのPRPを作り出す。変形性膝関節症に対しては、1カ月に1度のPRP注射を合計3回行うことを基本としている。小林医師らが行った調査では、全体の約63%に痛みや日常動作の改善が見られたという。「変形性膝関節症では、重症になるほど効果が表れにくいので、変形が進む前からの治療が有効です」。変形が進んでいる場合は、O脚を矯正する手術(骨切り術)などを併用すれば、より高い治療効果が望める可能性がある。

 しかし、PRP療法に軟骨の修復や再生効果があるかはまだ研究段階だ。短期間での痛みの軽減は、PRPが関節内の炎症を鎮める抗炎症効果だと考えられている。

 PRPの抽出方法は数多く存在し、患者自身の病状や飲んでいる薬によっても血液の状態が違うため、効果にも差が出る。小林医師は「スポーツ選手の早期復帰や、健康寿命を延ばす治療として、今後も発展が期待されています」と語っている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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