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日本は、65歳以上の高齢者が総人口の29.1%を占める超高齢社会である(総務省調査、2021年9月)。平均寿命と介護状態に陥らない健康寿命の差が拡大する中、「フレイル」の予防が重要な課題となっている。東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)の本川佳子研究員にフレイルの予防について聞いた。
10食品群のチェックシート
◇低栄養が要介護の加速要因
フレイルとは加齢による心身の衰えを意味する。慢性的な病気、活動量や口腔(こうくう)機能の低下、低栄養といった要因がフレイルを加速させ、介護が必要になる。
国民健康・栄養調査(19年)によると、80歳以上の36.7%が体格指数(BMI)21.5未満の「やせ」「低栄養傾向」にある。「低栄養は病気を合併しやすく、傷の治りも遅くなります。また死亡率上昇の原因になります」。予防には、食事で十分なエネルギー量を取ることが重要だ。
特に高齢者は、摂取したたんぱく質が筋肉になりにくいため、総エネルギー量に占めるたんぱく質の比率を増やす必要があるという。「たんぱく質は1食にまとめてではなく、3食均等に食べる方が筋肉になりやすいです」
1日3食しっかり食べ、さまざまな食品から栄養を摂取するのが理想的だ。「食欲が低下している時は、間食にヨーグルトやフルーツを食べたり、エネルギーやたんぱく質が豊富な栄養補助食品などで補ったりしてください」
◇不足する栄養をチェック
栄養の偏りや不足を防ぐためには、冷凍や作り置き、市販品なども活用しつつ10食品群(魚介類、肉類、卵、牛乳、大豆製品、緑黄色野菜、海藻、芋類、果物、油脂類)を満遍なく取ることが重要だ。「毎日主食、主菜、副菜を組み合わせてバランスよく栄養を取れている人ほどフレイルになりにくいです」
また、孤食は食欲低下につながりやすい。「家族や仲間とコミュニケーションを取りながら食事をすることで、高齢者の食事量が増えることが分かっています。新型コロナウイルス感染症への感染対策を十分に行いながら、家族や仲間と食事をする機会を増やしましょう」と本川研究員は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/12/05 05:00)
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