治療・予防 2024/11/25 05:00
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胃に続く消化管で栄養素の吸収を担う小腸。その大半を病気で切除したか、生まれつき短い子どもは、水分や栄養素を十分に吸収できず、下痢や体重減少が生じ、成長にも障害が及ぶことがある。これは「短腸症候群」と呼ばれるが、久留米大学病院(福岡県久留米市)小児外科の加治建教授は「治療法は進歩しており、子どもの成長も見込めるようになりました」と話す。
消化管の構造と短腸症候群
◇長さ3分の1以下
加治教授によると、生まれたばかりの赤ちゃんの小腸の長さは約2.5メートルだが、短腸症候群の子どもは小腸切除などによって、元の3分の1以下になっている。
小腸を切除する原因は、生後まもなく小腸がねじれる「捻転」や、小腸の内部が複数箇所で閉塞(へいそく)している「多発閉鎖」など。小腸が短くなった結果、栄養素を吸収する粘膜の面積が狭まり、成長に必要な水分と栄養素を十分に吸収できなくなる。
◇残った部分が順応
そのため、水分と栄養素を食事以外の方法で補給する。小腸切除の直後は、血管から細い管を通して栄養素を送り込む静脈栄養が数カ月から1年ほど行われる。その間、残っている小腸は吸収能力が高まるように順応していく。
ただし、静脈栄養を続けていると、管の入り口から細菌が侵入する恐れがある。また吸収した栄養素を、体内で利用しやすいように加工するなどの役割を果たす肝臓に負担が掛かり、肝機能が低下する恐れが増す。そのため、口や鼻などからチューブで栄養や水分を入れる経腸栄養に徐々に移行するのが望ましいが、うまくいかない場合もあるという。
昨年、残った小腸の順応を促す「GLP―2」というホルモンの一種を利用した新薬が承認された。在宅で1日1回の皮下注射を続けると、栄養素を吸収する能力が向上する。静脈栄養から離脱できない子どもに用いることで、「静脈栄養の日数を減らしたり、経腸栄養に移行できたりします」。
残った小腸を延ばす手術などもあり、短腸症候群の治療は多様化している。加治教授は「元気に学校生活を送る子どもが増えています」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/01/11 05:00)
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