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コロナ禍は、無気力、不安、メンタルヘルスの不調など、子どもたちの心にさまざまな形で影を落とした。東日本大震災以降の高校生のメンタルヘルスを調査してきた、東北大学病院(仙台市)肢体不自由リハビリテーション科の奧山純子助教(精神科医)に話を聞いた。
レジリエンスとは
◇震災と類似した変化
「震災後、高校生らは自宅待機、部活動や修学旅行などの中止を余儀なくされました。身体活動の低下に伴う肥満も目立ちました。こうした生活習慣の変化は、コロナ下のものと共通することが多くの研究から確認されました。ですから、震災以降の教訓をコロナ下の子どものメンタルヘルス改善に生かせるのではと考えたのです」
◇レジリエンスに期待
奧山助教らは、震災後の2012~14年に心理的問題が表れた宮城県南部の高校生860人に、スクールカウンセラーや高校教員による心理テストと面接を含むカウンセリングを行った。その結果、抑うつ症状や心的外傷後ストレス反応(PTSR)に改善傾向が見られたことから、「学校での心理カウンセリングは有効と考えられる。ただし、診る人数が多く、カウンセリングする側の負担が大きい。カウンセリングだけで対処するのは現実的ではないです」
そこで期待を寄せているのは「レジリエンス」(逆境から立ち直る能力)、あるいは、「心的外傷後成長(PTG)」と呼ばれる心の成長である。
「コロナ下でも(東日本大震災後と同様に)レジリエンスの向上が期待できます。そのためには、抑うつ気分の緩和、自己肯定感(ありのままの自分を肯定する感覚)や身体活動の維持が大切です」
自己肯定感を高めるためには「自分の気持ちを客観的に評価することやインターネット交流サイト(SNS)などのデジタルツールも使いながら、人とのつながりを保つことが重要です」。奥山助教は現在、こうしたデジタルツール開発のため、自分の気持ちを客観的に評価できるスマホアプリの研究を企業と共同で進めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/03/31 05:00)
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