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摂食障害の子ども6割増
~コロナ禍のストレス、広く深く~ ―重症患者の病床不足・国立成育医療研究センター調査―

外来患者数は男女とも6割増えた【表1】

 「摂食障害」とされる神経性食欲不振(神経性やせ症)の症状で初診外来を訪れた子どもが、大幅に増えたことが国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の全国調査で判明した。2020年度の初診外来患者数は、新型コロナ流行前の19年度の約1.6倍。新規入院患者も1.4倍に増加した。新型コロナ流行や長期の休校などによる不安やストレスが影響していると推測される。

 同研究センターは今年4月から6月にかけ、全国26の医療機関を対象に調査を実施。神経性食欲不振は摂食障害の一種。通常は極端なダイエットなどの食事制限や肥満を恐れて食事後の嘔吐(おうと)などで極端にやせる。

 調査結果によると、初診外来患者が19年度に158人(男子17人・女子141人)だったのが、20年度は258人(男子28人・女子230人)に急増【表1】。栄養失調や脱水など容体が重く、生死に関わる状態に達するなどの理由で、入院を必要とした患者も19年度の99人(男子6人・女子93人)から20年度は141人(男子9人・女子132人)と急増した【表2】。

小枝達也・国立成育医療研究センターこころの診療部統括部長

 ◇症状を訴えない子どもたち

 調査をまとめた同センターの小枝達也・こころの診療部統括部長は「本来は、成長に併せて増えるはずの体重が減るのが問題。学校の一斉休校が終わってからも続いていることから、単に家にとどまっているという理由ではなく、コロナ流行下で社会的な圧迫感や不安を感じて、抑うつ状態に陥っている子どもが多くいると考えられる」と分析する。

 「多くの子どもたちが、体重減少を認めない傾向があって、自ら病状を訴えることをしない」と小枝統括部長は指摘する。早期に発見するためには「保護者など周囲の大人が十分に食事をしているか、体重の増減はどうかなどを積極的に注意する必要がある」と言う。もし、異常があれば「保護者だけでもかかりつけの小児科医に相談し、児童精神などを診療する医療機関を紹介してもらってほしい」と呼び掛けている。また、20歳以上でも同様の兆候が生じている可能性もあり、若い年齢層全体への目配りの必要性も指摘している。

 重症患者を受け入れる病床数が不足していることも、見えてきた。病床の充足率を回答した5施設のうち4施設で、病床の使用率が上昇している。「事前に想定した病床数の2倍以上の患者を入院させている」という回答も2施設から寄せられている。

 小枝統括部長は「もともと未成年の摂食障害を診療している医療機関が少なかった。コロナ対策で小児の病床が減らされていることが、影響している可能性があります。しかし、この新型コロナに関連して増加した疾患への対応は、今後も続く。病床の確保は大きな課題となった」と指摘する。

入院患者数は4割増えた【表2】

 ◇潜在化する摂食障害

 同センターが昨年度から今年度にかけて、全国の小児とその保護者を対象に数回にわたって実施した「コロナ×こどもアンケート」調査では、新型コロナ感染拡大による摂食障害が、広まっている可能性が高いことを示しているという。全国の子どもたちのストレスと不安は深刻度を増している。

 これらの調査の中で「あまり食欲がない、または食べ過ぎる」との回答が、9歳から18歳で過半数を占めている。また、別の質問では、この年齢層の38%が「太りすぎ」「太りぎみ」と思っていると回答し、48%が「やせたい」と回答している。さらに、4%がやせるために「食事の量を普段の3分の2以下に減らす」、2%が「食べたものを吐く」と回答しており、摂食障害の潜在的な患者や予備軍の広がりが懸念される状況になっている。

 子どもの心の健康と診療を支える機関などは次のURLから検索できる。https://www.ncchd.go.jp/kokoro/kyotenmap.php

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