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認知症は一般に高齢者に多いが、若くして発症することもある。18~64歳で発症した認知症を「若年性認知症」と呼ぶ。東京都済生会中央病院脳神経内科の馬島恭子医師に聞いた。
家族が異変に気付くことが多い
◇生活への支障が大
2020年に行われた国の調査では、若年性認知症の患者数は約3万6千人、有病率は18~64歳の人口10万人当たり約51人と推計される。女性に多い高齢者の認知症に比べ、若年性認知症では男性の割合が少し高い。内訳はアルツハイマー病が半数以上を占め、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症(脳の前方部分が縮むことにより起こる)などが続く。
患者の特徴について、馬島医師は「アルツハイマー病のリスクが高まる遺伝子(アポリポタンパクE4型)を持つ人が比較的多く見られます。また、アルツハイマー病や脳血管性認知症の発症リスクとなる生活習慣病を持っていた人も多いです」と指摘する。
配偶者や子どもなど家族が異変に気付くことが多く、最初に気付いた症状として「物忘れ」「職場や家事でのミス」「怒りっぽくなった」などが挙がる。
「アルツハイマー病は記憶障害が目立ち、前頭側頭型認知症では行動や感情に抑制が利かない、言葉が出てこないといった症状が目立つことが多いです」
生活への支障は、高齢者の認知症以上に大きくなりやすい。「まだ働き盛りの年代のため経済的に困窮」「介護の負担が配偶者に集中しやすく、子育てや親の介護と重なるとさらに負担が増大」「デイケアサービスは高齢者向けの内容しかなく、社会的居場所がない」といった問題点がある。
◇診断つきにくい
高齢者より診断が遅れやすいことも問題の一つだ。「自分の失敗をカバーする能力がまだあるので問題が表面化しにくかったり、医療機関を受診しても年齢から認知症が疑われず、うつ病や適応障害と間違われたりするケースも」と馬島医師。
実際、患者の約半数は最初に受診した医療機関で診断が得られなかったと報告されている。なるべく早く認知症疾患医療センター(都道府県や政令指定都市が指定)などの専門医療機関を受診したい。早期発見であるほど治療効果も期待でき、医療費助成や障害年金などの経済的支援にもつながりやすい。
就労が継続できる方法を職場と相談できると、経済面・心理面共に理想的だ。「簡単な業務に回してもらうなどして職場を辞めずに済んだ人ほど、本人もご家族も明るく、良好な状態を維持できている印象です」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです
(2023/04/04 05:00)
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