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強い毒性を持ち、老化を促進させる原因物質の一つとして注目される「終末糖化産物(AGE)」。タンパク質に糖が結び付き加熱される「糖化反応」によって体内で形成されるほか、食品にも含まれる。
昭和大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科(東京都品川区)の山岸昌一教授は「血糖値が高い状態が続くほどAGEは臓器にたまりやすく、機能障害を引き起こす原因になります。健やかに老いるために、AGEの蓄積を抑える食生活を実践しましょう」と話す。
高AGE食品の一例
◇老年病リスクが増加
体内では、体の屋台骨ともいえるタンパク質が、血中の過剰な糖と結び付き、体温で加熱されてAGEが生じる。高温調理でも、きつね色の焼き目が付いた部分にAGEが多く発生する。
山岸教授は「高い血糖値、喫煙、AGEの多い食品の過剰摂取は、AGEの蓄積を加速させます。その弊害の一例は、体のタンパク質の約3割を占めるコラーゲンの劣化です」と説明する。一般的にコラーゲンのAGE化が進むと細胞に慢性の炎症が起こり、肌は弾力が失われ、骨はもろくなり、血管は硬くなるという。
「さらに、有害物質を排除する酵素や免疫細胞もタンパク質でできていますので、AGEが蓄積するほど体の修復機能が低下し、心臓病やがん、骨粗しょう症、アルツハイマー病などの老年病のリスクが高まると考えられています」
◇煮物や蒸し物を
体内にたまったAGE量は、皮膚のAGEを測定する機器で測定できる。山岸教授は「自分のAGE値を知って、食生活を見直すきっかけにしてほしい」と話す。
AGEの蓄積を抑えるには、食後の高血糖を予防し、食品からのAGE摂取量を減らすことが重要になる。「食事は、野菜やおかずから先によくかんでゆっくり食べることで糖の吸収が緩やかになります。また、体内のAGEの蓄積を抑えてくれるブロッコリースプラウトやマイタケなどを食事に取り入れるのもよいでしょう。日ごろから家事などで体を小まめに動かすこともポイントです」と山岸教授。
通常、肉や脂肪の多い食品を高温で揚げたり焼いたりした場合に、AGEが多く発生する。揚げ物は酢で下ごしらえしてから調理し、主に煮たり蒸したりする調理法を用いるとよい。
山岸教授は「誰もが老化しますが、そのスピードを緩やかにすることは可能です。日々の食事で、AGEの蓄積を減らす取り組みを続けることで、いつまでも健康で若々しく過ごしましょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/05/04 05:00)
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