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爪白癬(はくせん)と爪乾癬(かんせん)は、ともに爪が濁ることが多い病気だが、見た目だけでは判別しにくい。患者数は爪白癬の方が圧倒的に多いが、慶応大学医学部皮膚科の斎藤昌孝非常勤講師は「爪白癬だと思い込んでいる患者の中には、爪乾癬が疑われるケースも含まれます。気になる症状がある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします」と助言する。
顕微鏡で白癬菌の有無を確認する
◇水虫放置で爪白癬
かびの一種「白癬菌」が皮膚に感染して起きるのが水虫だ。足の水虫を治療せずに放置したりすると、白癬菌が皮膚から爪に侵入し、爪白癬を合併しやすい。爪白癬は、爪先から根元に向かって広がっていくことが多く、初期には爪が白色や黄色に変色し、進行すると爪が厚くもろくなる。
日本皮膚科学会によると、日本人のおよそ10%が爪白癬にかかっているという。「爪白癬はかゆみや痛みなどの自覚症状が乏しいために見過ごされやすく、注意が必要です」
爪白癬の診断は、病変部を採取して顕微鏡により行う。治療はホスラブコナゾールなどの抗真菌薬を内服するのが一般的で、外用薬に比べて病変部に浸透しやすく、より効果が期待できるという。
「爪白癬の予防には、水虫を放置せず治療することが大切です。水虫や爪白癬のある人とタオルやバスマットなどを共用せず、日ごろから足の皮膚や爪の状態をよく観察するようにしましょう」
◇爪乾癬はうつらない
別の疾患が爪白癬と誤診されて間違った治療が行われるケースもある。その一つが爪乾癬だ。
乾癬は皮膚が赤く盛り上がり、表面がぼろぼろとはがれ落ちるのが特徴の慢性疾患で、関節や爪にも症状が表れる場合がある。爪乾癬も、爪白癬のように爪が白濁したり、変形したりする。
原因は明らかになっていないが、免疫異常が関係すると見られている。乾癬になりやすい遺伝的素因があると、不規則な生活や食事、ストレスなどが引き金になって免疫が異常を来し、発症すると考えられている。誤解されがちだが、感染症ではないため人にうつることはない。
爪乾癬の治療には主にステロイドやビタミンD3などの塗り薬、免疫抑制剤の内服薬、重症の場合は生物学的製剤(注射)などが使われる。
斎藤非常勤講師は「爪白癬と爪乾癬は皮膚科専門医でも見分けるのが難しいため、爪白癬の検査が必須です」とアドバイスしている。爪に白濁などの異常が見られる場合は、日本皮膚科学会所属の専門医がいる医療機関(http://www.dermatol.or.jp/modules/spMap/)などを受診するとよいという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/09/16 05:00)
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