治療・予防 2024/11/21 05:00
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日本の子どもの虫歯(う蝕)は減少傾向にある一方、口の中の衛生状態が悪かったり、哺乳瓶を長期間使ったりする習慣が原因で、幼児期に虫歯が多発し急速に進行する「ランパントカリエス(重症う蝕)」になるケースも少なくないという。
岡山大学病院(岡山市)小児歯科の仲野道代教授は「ランパントカリエスは主に3~5歳児に見られ、気付いたときには20本の乳歯のほぼ全部が虫歯になってしまうケースもあります」と話す。
就寝前にしっかり歯磨きを
◇哺乳瓶の使い方に注意
ランパントカリエスは、虫歯菌に対する抵抗力が弱い幼児期の乳歯がかかりやすい。進行が速いため、早期に歯の神経である歯髄(しずい)感染を起こす。幼児は虫歯の痛みを訴えることはあまりないが、硬い物を食べなくなったり、食欲が無くなったりする。体重減少、微熱や顎下リンパ節の腫れを伴うこともある。
「ランパントカリエスの特徴は、通常では虫歯になりにくい下の前歯まで侵され、奥歯の歯冠部(歯ぐきから上の部分)のほとんどが虫歯菌の出す酸によって溶けてしまう『歯冠崩壊』に至ることです」
原因は、保護者の歯の健康意識の薄さ、適切な歯磨きができていない、糖分の頻繁な摂取などの生活習慣にあるという。特に問題となるのが哺乳瓶の不適切使用だ。「離乳食開始後、とりわけ2歳以降は、虫歯の原因菌を増殖させる砂糖や果汁などを含むジュースやスポーツドリンクなどを、特に就寝前に哺乳瓶で与えることはやめましょう」
◇治療でかめる状態に
乳歯は抜けるからといって虫歯を放置するのは危険だ。「本来の時期よりも早く虫歯によって乳歯が抜けたり、歯冠崩壊したりすると、奥歯をかみしめたときに下の前歯が見えないくらいかみ合わせが深くなったり、永久歯に生え変わったときに歯並びが悪くなったりします」
ランパントカリエスの治療は、小児歯科の専門施設に紹介されることが多く、1~2週間に1回の通院で、最短でも3カ月ほどかかる。「虫歯になった乳歯を治療し、きちんとかめる状態を目指します。歯の病変を除去し、歯髄を保護する処置をしてかぶせ物を着ける治療と並行して、歯磨きと食事の指導を行います」
最初に生える永久歯である第1大臼歯は「6歳臼歯」とも呼ばれる。生え始めの小さな歯の頃は磨きにくく、虫歯になりやすい。仲野教授は「歯磨きタイムは、お子さんとのスキンシップでもあります。保護者の方は、まずは第1大臼歯が虫歯にならないことを目標に、就寝前に歯をしっかり磨いてあげましょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/10/28 05:00)
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