治療・予防

歯並び悪いと中高年以降に影響
~矯正で健康を守る(日本臨床矯正歯科医会 野村泰世会長)~

 歯並びやかみ合わせが悪いと、食べ物をしっかりかんだり、すりつぶしたりといった歯の機能に影響する。歯磨きがうまくできなくなり、歯を失うことにもつながる恐れがある。日本臨床矯正歯科医会(東京都豊島区)の野村泰世会長に話を聞いた。

良い歯並び

良い歯並び

 ◇かみ合わせの悪さで歯を喪失

 厚生労働省と日本歯科医師会が行っている「8020(はちまるにいまる)運動」は、80歳になっても20本以上自分の歯を保つことを目標としている。一般的な成人の持つ28本の歯をできるだけ維持することで、生涯自分の歯で食べる楽しさを目指す。

 「20年ほど前は、55歳を過ぎると歯が20本以上残っている人は大幅に減りましたが、この運動が始まったことで、2016年には8020達成者が50%を超えました」

 中高年以降の歯の喪失は、歯周病や虫歯が主な原因で、適切な歯磨きができていないことにある。「歯並びやかみ合わせが悪い人は、歯に歯ブラシが当たらない箇所が出てきて、磨き残しが多くなります」。正しいかみ合わせの人に比べ、歯並びやかみ合わせが悪い人は、8020達成率が低いことも分かっている。

 ◇矯正歯科で定期的な確認を

 子どものころに問題がなくても、顔の片側で頬づえをついたり、舌で歯を押したりする癖があったり、虫歯で歯を抜いたりすることで、徐々に歯並びやかみ合わせが悪くなることがある。下の奥歯の虫歯を放置したことで歯を失い、上の歯が伸びてかみ合わせが悪くなるケースもある。

 「中高年以降に矯正歯科を受ける人は歯周病や虫歯がある人が多く、歯並びの状態によっては今ある歯を抜かなければなりません。成長期に比べて治療期間が長くなることが多いため、気になる人は早めに矯正歯科医に相談しましょう」。矯正歯科治療は自由診療で、矯正終了後も定期的に受診する必要がある。

 新型コロナウイルス感染症の流行によるマスク生活の影響もあり、矯正歯科への相談は増えているという。「矯正歯科治療に特化した地域の歯科医は、日本臨床矯正歯科医会のホームページで検索できます。歯並びやかみ合わせが気になる人は相談してください」と野村会長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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