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心臓の異常による突然の心停止は、全国で約6分半に1人発生している。回復せず24時間以内に死亡した場合は心臓突然死と呼ばれ、原因の多くは不整脈と推定される。心臓突然死を防ぐ方法について、東邦大学医学部(東京都大田区)循環器内科学の池田隆徳教授に話を聞いた。
心室性不整脈の原因となりうる主な心臓病
◇胸骨圧迫とAEDで半数救命
「心臓突然死の原因となる不整脈の約8割は、心室細動などの心室性不整脈です。心室細動とは、全身に血液を送り出す役割を果たす心室がぶるぶると震えた状態で、そのままにすると心臓や呼吸が止まってしまいます」。このため、心臓突然死を防ぐには、心室性不整脈によって止まってしまった心臓の動きを元に戻す必要がある。
心停止から1分たつごとに、救命率は約10%低下するという。「周囲の人はすぐに、倒れた人の胸の真ん中を強く押す、胸骨圧迫による心肺蘇生術を開始するとともに、自動体外式除細動器(AED)で心臓に電気ショックを与える除細動という処置を行う必要があります」。胸骨圧迫を行うことで救命率は約2倍になる。さらにAED処置を施すと約6倍になり、ほぼ半数の命を救えるという。
◇心電図でリスク評価可
ただし、AEDが近くになかったり、設置場所や使い方が分からなかったりして処置が行われないケースは多い。心停止の3分の2は自宅で発生するが、自宅にAEDを設置している人は少ない。
そこで予防手段として、危険な不整脈発生時に、自動的に電気ショックで除細動してくれる埋め込み型除細動器(ICD)を体内にあらかじめ埋め込む方法がある。心筋梗塞などによる心機能低下、遺伝性不整脈など、心室性不整脈のリスクのある人が対象となる。
「心筋梗塞、狭心症や心筋症の人、若いときに突然死した家族がいる人、健診で心電図異常を指摘された人も含め、ぜひ循環器専門医に相談してください。危険な不整脈のリスクがあるか、ICDが必要かを見てもらうといいでしょう。最近は、入院しなくても行える心電図検査などでリスクを評価できます」と池田教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/12/03 05:00)
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