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妊娠中に魚を積極的に食べた母親から生まれた子どもは、3歳時の神経発達が遅れるリスクが低くなることが分かった。今春、研究成果を発表した群馬大学大学院医学系研究科(前橋市)公衆衛生学の浜崎景教授に聞いた。
魚の摂取量と子どもの発達が遅めになるリスク
◇成長に重要な成分
魚、特に青魚にはエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)など、健康維持に有益なオメガ3脂肪酸と呼ばれる栄養素が豊富に含まれる。「脳や神経を形成するために必須で、おなかの赤ん坊が成長するために重要です」。オメガ3脂肪酸は体内で作ることができないため、母親が食べ物から取る必要がある。
浜崎教授らは、子どもの健康状態を長期的に追跡した環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査」のデータを用い、妊娠中の魚の摂取量と子どもの発達状況との関係を調べた。
◇発達遅れのリスクが低下
浜崎教授らは2020年に生後6カ月、1歳約8万人のデータを分析した結果を報告。妊娠中に魚を多く食べた母親から生まれた子どもは、生後6カ月時と1歳時ともに指先で物をつかむなどの「微細運動」や、手順を考えて行動するなど「問題解決」の領域で発達の遅れが少ないとの結果を得た。
今回は、子どもの発達の遅れが最も出やすいとされる3歳時の分析を約9万人のデータを基に検討。その結果、妊娠中に魚を多く食べた母親から生まれた子どもは、3歳時の「微細運動」「問題解決」に加え、他人とのやり取りなどに関する「個人・社会」の領域でも発達の遅れが少なかった。1日の平均摂取量が約70グラムと最も多い群では発達遅れのリスクが最も低いことも分かった。
「オメガ3脂肪酸が豊富な魚を妊娠中に十分に食べていれば、子どもの発達が遅めになるリスクを低減できると推測されます。魚に含まれる水銀に注意しなくてもよいとされる比較的小さな種類の青魚、例えばブリ、サンマ、サバ、イワシ、アジなどを積極的に食べてほしい」と浜崎教授は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/09/26 05:00)
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