治療・予防

妊婦のアナフィラキシーに注意を=胎児にも低酸素血症などのリスク

 短時間に全身にアレルギー症状が出るアナフィラキシーは、重篤な場合、生命に危険が及ぶこともある。特に妊婦が起こすと、母体だけでなく胎児への影響も懸念される。帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)高度救命救急センター長の三宅康史(みやけ・やすふみ)教授に対応を聞いた。

 ◇最多の原因は抗菌薬

 アレルギーは体内に入った異物への免疫反応で、皮膚や呼吸器などに症状が表れる。母体が胎児を「異物」として拒絶することなく受け入れている妊婦は、「妊娠していないときよりも異物への許容範囲が広く、基本的にアレルギーは起こりにくい状態にあります」と三宅教授。

 しかし、アトピー性皮膚炎食物アレルギーなどがある人はやはり高リスク。アレルギーが無くても、妊娠による体の変化でアナフィラキシーを起こす恐れはある。体の変化は予測できないため、基礎知識を身に付けておくことが重要だ。

 妊婦のアナフィラキシーの原因で最も多いのは抗菌薬。過去に抗菌薬でアナフィラキシーを起こしたことがあったら必ず主治医に伝え、類似薬も含めて避ける必要がある。医療現場で使用するゴム手袋の素材のラテックスなどが原因となることもある。最近はラテックスを使わない手袋も普及しているが、アナフィラキシーの経験があれば事前に伝えることが大事だ。

 まれに、ハチに刺されてアナフィラキシー反応を起こす人もいる。「ハチ毒のアナフィラキシーは、初めてのときは症状が無くても、二度目に出現することがあります」と三宅教授は注意を促す。

 ◇症状出たら119番

 アナフィラキシーは症状の程度に差はあるが、突然くしゃみやせき込みが起こったり、唇や手足が震えたりする症状が見られることが多い。特に問題となるのが呼吸器や循環器の症状で、呼吸困難や呼吸音がゼーゼーする、喉頭の腫れ、血圧低下に伴う失神などの危険な症状を「アナフィラキシーショック」という。

 「妊婦が起こすと、胎児が低酸素血症や循環不全などになるリスクが高まります。胎児を助けるためにも母体の安全確保が重要です」と三宅教授。治療は、アドレナリンの筋肉注射やステロイド薬の点滴、抗ヒスタミン薬などを投与し、喉頭の腫れで気道がふさがっていたら、気道確保も行う。

 「重篤でなくても搬送先の病院で判断する必要があるので、症状が見られたら救急車を呼んでください。回復後はアレルギーの原因物資を特定するテストを受けるなどして再発を予防することも大切です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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