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肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、右心室から肺へ血液を送り出す血管の圧力が異常に上がり、右心不全を引き起こす疾患だ。原因不明の場合を特発性PAH、家族歴や関連遺伝子が関係する場合を遺伝性PAHと呼ぶ。30年前までは5年生存率が約30%だったが「早期からしっかりとした治療を行うことで、驚くほど改善する人が増えてきました」と国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)肺循環科の大郷剛医師は話す。
◇ぜんそくや気管支炎と誤診
特発性・遺伝性PAHはまれな疾患で、国内の患者数は千人未満と推定される。10~40代の女性に多く見られるのが特徴で、典型的な症状としては動いた時の息切れ、呼吸困難、立ちくらみがある。しかし、初期の段階では症状が軽く、受診せず様子を見ようとする人が少なくない。近くの医院を受診しても、ぜんそくや気管支炎などと間違われやすい。
こうした理由から、PAHは発症後1~2年が経過し、重症化してから見つかることが多い。大郷医師は「PAHは早期発見が難しい疾患ですが、進行が早く、速やかに治療を始めなければ命に関わる恐れもあります」と説明する。
(2016/11/17 16:51)
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