ぜんそく

 気管支ぜんそく(以下、ぜんそく)は、空気の通り道である気管支の慢性炎症を本態とし、自然に、あるいは治療により可逆性を示す喘鳴(ぜんめい:呼吸するときのゼーゼーヒューヒューといった音)、呼吸困難やせきで特徴づけられる病気です。持続する炎症は、気管支の障害とそれに引き続く構造の変化(リモデリング)を引き起こして非可逆性の変化をもたらし重症化することとなります。
 ぜんそくを悪化させる因子としては、ハウスダスト(室内のほこり)やダニなどが代表的で、室内で飼育している動物、植物やカビなどが原因にもなるので室内環境には注意することが必要です。また、喫煙はぜんそくにとって有害になるので、喫煙している人は禁煙を、喫煙していない人はたばこの煙を吸わないようにすることが大切です。

[症状][診断]
 息切れ、喘鳴、せき、たん、などの症状がみられます。これらの症状が変動性をもって一時的あるいは時間をおいてくり返し何回も起こります。したがって、このような症状がみられたときには、かぜなどと簡単に考えないで、ぜんそくになっている可能性を疑うことが重要となります。
 症状の発現する状況や時間帯、経過などがぜんそくの発症を疑うポイントとなります。具体的には、
 1.発作性に症状が出現する(症状の発現した日時や時期、季節などがはっきりわかる)
 2.自然に、あるいは、治療によりよくなったり、わるくなったりする
 3.かぜにかかったあと、刺激性物質を吸入したあとや運動後など、なんらかの刺激によって症状が誘発される
 4.早朝・夜間に症状が多い
などです。
 一般的に、ぜんそく症状が起こりやすいのは明けがたの午前4~5時ごろです。また、季節の変わりめ、花粉が多く飛散する時期、掃除の際に粉じんを多く吸入した場合、エアコンによる温度変化が急激に生じたとき、雨の日や台風などで気圧や湿度が変化したとき、高度な心理的ストレスがかかったときなどです。
 ぜんそくには「せきぜんそく」といって、喘鳴が聞かれずに、長期間にわたってせきだけが続くことや、色のついていない透明で糸を引くようなたんのみが出ることもあります。
 ぜんそくの診断は、上記のような症状をみとめた場合に気管支の閉塞が改善するかを調べるための(ピークフロー、1秒量)、気道過敏性試験、アレルギー検査としてIgE(免疫グロブリンE)や皮膚テストなど、たんや血液中の好酸球、呼気中一酸化窒素濃度測定などをおこないます。また、類似した症状を示すほかの病気をチェックするために、胸部X線検査をおこないます。

[治療]
 気管支の慢性炎症が本態ですので、炎症をしずめる治療が基本となり、そのために副腎皮質ステロイド薬の吸入を継続しておこないます。吸入薬なので通常の量を使用している場合には、全身性の副作用がありません。また、ステロイド薬を多く使用しても症状が安定しないときには、長時間作用性β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬や長時間作用性抗コリン薬などを追加します。
 発作が起きたときには、気管支拡張薬(短時間作用性β2刺激薬)を吸入します。これによっても改善しないときは、医療機関を受診します。また、治療によって症状がよくなったときも、気管支の炎症は続いていますので、自分の判断で治療を中止せず、必ず医師と相談しながらステロイド薬の吸入量をゆっくりと(3~6カ月ごとに)減らします。気管支ぜんそく

■ピークフローメーターによる自己管理
 ぜんそくの治療が良好におこなわれているかを患者自身で管理することは重要です。ぜんそくの状態を症状だけではなく、気管支での空気の通りやすさ(気管支の太さ)を客観的に知るために開発されたのがピークフローメーターです。
 吸い込んだ空気を勢いよく吐き出すときの最大気流(ピークフロー:吐き出される空気のスピード)を測定して気管支がどれだけの太さになったかを推測できます。正常のピークフローの80%以上あればぜんそく治療は良好であるとされ、50~80%は要注意状態と判断され治療薬をややふやします。
 さらに、50%未満であれば危険な状態にあると考え医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。ピークフローを日常的に測定し日誌に記録することにより、悪化して手遅れになる前に患者自身でぜんそくを管理することが求められています。

■日常生活で注意する点
 ぜんそくを誘発させる要因として室内で生息するダニを除去することが必要です。ダニは、じゅうたん、たたみ、繊維性のソファ、ぬいぐるみなどに多く、可能な範囲で除去するか代替物を使用し、掃除をまめにおこなうことが必要です。動物の毛やふけなどもぜんそくを起こさせますので、室内(特に寝室)で毛を有するペットの飼育は避けることを心掛けます。
 そのほか、食事ではソバぜんそくなどのように原因が特定されている場合は摂取しないことです。また、アスピリンのような鎮痛解熱薬で重い発作が起こることがあり、使用しなければならないときは、医師に相談したうえで十分に注意をしながら使用します。
 ぜんそく発作時には運動によって症状が悪化するため運動は控えますが、症状が特になくても運動することによって発作が起こる運動誘発性ぜんそくもあります。
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