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「トキソプラズマ」は哺乳類と鳥類に感染する寄生虫だ。人に感染しても大半は症状が出ないものの、妊婦が初めて感染すると、子どもの脳や目に重い障害が出ることがある。元・三井記念病院(東京都千代田区)産婦人科部長でミューズレディスクリニック(埼玉県ふじみ野市)院長の小島俊行医師は「トキソプラズマの存在を知り、妊娠が分かったら積極的に検査を受けてほしい」と呼び掛けている。
▽首の腫れや微熱
小島院長は「首のリンパ節の腫れや微熱などが1~2カ月続くことがありますが、ほとんど問題ありません」と話す。
ただ、妊娠中の女性は注意が必要だ。同院長は「妊婦が感染するとその約3割が胎児にも感染、さらにその約1割に水頭症や脈絡網膜炎による視力障害などの重い障害が表れると言われます」と指摘する。
▽妊娠初期に検査を
トキソプラズマは1度の感染で免疫ができるため、抗体の有無を調べる「IgG抗体検査」と、最近の感染かどうか判定する「IgM抗体検査」を行う。いずれも陽性の場合、「IgGアビディティ検査」を実施し、初感染かどうなのかを最終的に判断する。
IgM抗体が陽性だと妊娠中の感染と思い込みやすいが、「採血日から2年くらい前までの期間を含むため、検査数値に惑わされないことが大切です」と小島院長。実際にIgM抗体陽性の妊婦にIgGアビディティ検査を行うと、8割以上が妊娠前の感染だという。
妊娠中の初感染であっても抗菌薬「アセチルスピラマイシン」や、国内未承認だが特定の医療機関で使われている抗寄生虫薬「ピリメタミン」など、妊婦でも服用できる薬はある。
現在、トキソプラズマの検査は任意で、妊婦健診で行う医療機関は約5割にとどまると言われるが、小島院長は「障害が表れる子どもは少ないですが、やはり妊娠初期の検査は必要」と訴える。
トキソプラズマに感染していないことが確認できても、妊娠中は加熱が不十分な肉を食べず、土いじりや猫のふんの始末は避けるなどの予防が必要だ。「まれに再感染もあるので、免疫があっても妊娠中は気を付けるように」と小島院長は注意を促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/09/07 10:39)
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