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ネット依存を防ぐ
取り上げるのは逆効果

 スマートフォンやパソコンなどの普及でインターネットのある生活が当たり前になる中、子どものネット依存も問題になっている。「ネット依存をきっかけに不登校になったケースもあります」と、ネット依存症外来をいち早く開設した国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)精神科の中山秀紀医師は警鐘を鳴らす。

 ▽ネットやめるといらいら

時間制限を設けることが予防に

 子どもは大人に比べ自己制御が利きにくい。ネットをしていないといらいらする、空虚さを感じる、物足りなくて勉強が手に付かない、寝る時間なのにやめられないといった場合は「依存」の可能性がある。

 中山医師は「インターネットが楽しいあまり、やめるといらいらするようになり、ネットを続けることで生活リズムも乱れ、さらにネットから抜けられなくなっていくのです」と悪循環の恐ろしさを強調する。

 ネット依存の背後には発達障害やうつなどの精神症状が隠れていることもある。「発達障害が先にあって不登校になり、ネット依存につながることがあります。一方、ネット依存が原因で引きこもるようになり、うつなどを合併することも少なくありません」

 ▽ネット以外の時間を

 ネットの長時間利用は依存のリスクを高めるため、時間制限を設けてやり過ぎないようにすることが予防となる。また、「友人と外で遊ぶ、家族と一緒に活動するといった時間を設けると、ネット依存になりにくくなります。長期休暇中も生活リズムを崩さないようにすることが大切です」と中山医師は説明する。

 ネット依存が疑われる場合は地域の精神科や心療内科などを受診し、精神症状がある場合にはその治療を行えば「ネット依存が軽減する場合もある」という。

 久里浜医療センターのデイケアでは、午前中にはスポーツなど、午後には認知行動療法といった心理学的手法を使った患者同士のミーティングによる治療も行っている。中山医師は「依存の治療では患者同士が話し合うことが有効とされています。プログラムにあるキャンプなどに参加してネット環境から離れることが回復のきっかけになる場合もあります」と指摘する。

 家族に対しては「パソコンを取り上げることが逆効果になることもあります。特に中学生以降は本人が納得できないと、家庭内での暴言や暴力に発展しかねません。あくまで本人が『勉強や通学などのために今はネットがない方がいい』と認識することが大切です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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