一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督
(第2回)投げやりと開き直りは違う
侍たちに掛けた言葉
「良かったら選手の手柄。悪かったら監督が責任をかぶって、選手に火の粉がかからないようにする。それも監督の仕事。だから、負けたら『小久保が悪い』でいいのです」。小久保裕紀さんがこう語ったことがある。プレミア12の韓国戦での敗戦で、「小久保の失敗」という見出しがスポーツ紙に出た時は精神的にこたえた。小久保さんが気を取り直した後の言葉だろう。
「何しろ、WBCが始まるまでは『史上最弱の侍ジャパン』と言われていました。僕はマスコミの重箱の隅をつつくような質問の受け答えにも慣れて、どんと来いと思っていましたが、選手たちも負けたらたたかれます。新聞を読んで、ボロクソに書かれていれば動揺しますよね」
そこで小久保さんは、1週間に3、4回、「開き直る権利」を選手たちに説いた。勝負が始まったら必ず、「もうどうにでもなれ」と開き直らなければならない時が来る。その時、勝負の女神がほほえんでくれるのはどういう選手か。それは、準備し、準備をし尽くした人間だ。そういう選手が開き直った時に初めて、勝利の女神がほほ笑む。何の準備もしなかった選手が開き直っても、女神はほほ笑まない。それはただの「投げやり」だ。
「投げやりと開き直りは違う。その開き直れる権利を得るために、きょうの試合で自分は何ができるのか。外野はうるさいけれど、それだけを考えて徹底して追い求めてくれ、と言ったのです」
- 1
- 2
(2018/07/31 10:00)
一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督
-
2018/10/09 10:00
(第12回)野球の楽しさ、子どもたちへ
プロこそ、野球教室に子どものファンも大切にした小久保さん 小久保裕紀さんは現役時代、毎年オフになると4~5回、全国各地の…
-
2018/10/02 10:00
(第11回)心の中で生き続ける母
残された時間を2人で引退セレモニーが終わり、母に迎えられる小久保さん 2012年のシーズン後、小久保裕紀さんは現役を引退した…
-
2018/09/25 10:56
(第10回)固い王さんとの絆
その血を受け継ぐ引退セレモニーでソフトバンクホークスの王会長から花束を贈られる小久保さん 最も影響を受けた野球人を尋…