口腔ジスキネジア〔こうくうじすきねじあ〕
口腔ジスキネジアは、口腔周囲の顔面表情筋ならびに、あごの運動に関与する筋の異常収縮により円滑な開口・閉口に支障をきたす病状を呈するものをいいます。すなわち、舌やくちびるなどの口腔の器官が自分の意思にかかわりなく、動いてしまう不随意運動のことを示します。
具体的な症状としては、口をすぼめる、口をとがらす、舌鼓(ぜっこ)をうつ、吸い込む、くちびるをなめ回す、口をもぐもぐ動かす、舌を突き出す、あるいは下あごを咀嚼(そしゃく)運動のように動かすことなど、意識とは別の不随意運動としてあらわれます。この不随意運動により生じる問題としては、歯の咬耗(こうもう:歯が削れること)、義歯の損傷、無歯顎患者の進行性骨萎縮(いしゅく)、口腔の痛み、顎関節の退行性変化、顎関節脱臼、口腔粘膜組織の咬傷(こうしょう:歯によるかみ傷)、発語障害、嚥下(えんげ)障害、咀嚼困難、不十分な食物摂取と体重減少、社会的機能障害(失業、孤立、うつ病)など多種多様です。
口腔ジスキネジアにはあきらかな原因は特定されていませんが、中枢(ちゅうすう)性に生じる特発性のものと、薬物誘発性のものに分類されています。特発性口腔顔面ジスキネジアの原因としては統合失調症、アルツハイマー、認知症、自閉症、知的障害など、さまざまな中枢神経系の病態が関与していると考えられています。このほか、不適合義歯の装着が、特発性口腔顔面ジスキネジアの危険因子であるとの報告もあります。このような症例では、口を大きくあけたり、会話をする、あるいは食物を咀嚼することにより不随意運動が軽減したり、あるいは消失します。また、夜間睡眠時には消失します。
いっぽうで、薬物誘発性ジスキネジアとして、抗精神病薬や抗パーキンソン病薬などの長期服用による遅発性ジスキネジアが広く知られています。抗精神病薬はドーパミン系を遮断し、抗パーキンソン病薬はドーパミン系を賦活(ふかつ)することにより異常運動が出現すると考えられていますが、詳細なメカニズムは不明とされています。
具体的な症状としては、口をすぼめる、口をとがらす、舌鼓(ぜっこ)をうつ、吸い込む、くちびるをなめ回す、口をもぐもぐ動かす、舌を突き出す、あるいは下あごを咀嚼(そしゃく)運動のように動かすことなど、意識とは別の不随意運動としてあらわれます。この不随意運動により生じる問題としては、歯の咬耗(こうもう:歯が削れること)、義歯の損傷、無歯顎患者の進行性骨萎縮(いしゅく)、口腔の痛み、顎関節の退行性変化、顎関節脱臼、口腔粘膜組織の咬傷(こうしょう:歯によるかみ傷)、発語障害、嚥下(えんげ)障害、咀嚼困難、不十分な食物摂取と体重減少、社会的機能障害(失業、孤立、うつ病)など多種多様です。
口腔ジスキネジアにはあきらかな原因は特定されていませんが、中枢(ちゅうすう)性に生じる特発性のものと、薬物誘発性のものに分類されています。特発性口腔顔面ジスキネジアの原因としては統合失調症、アルツハイマー、認知症、自閉症、知的障害など、さまざまな中枢神経系の病態が関与していると考えられています。このほか、不適合義歯の装着が、特発性口腔顔面ジスキネジアの危険因子であるとの報告もあります。このような症例では、口を大きくあけたり、会話をする、あるいは食物を咀嚼することにより不随意運動が軽減したり、あるいは消失します。また、夜間睡眠時には消失します。
いっぽうで、薬物誘発性ジスキネジアとして、抗精神病薬や抗パーキンソン病薬などの長期服用による遅発性ジスキネジアが広く知られています。抗精神病薬はドーパミン系を遮断し、抗パーキンソン病薬はドーパミン系を賦活(ふかつ)することにより異常運動が出現すると考えられていますが、詳細なメカニズムは不明とされています。
(執筆・監修:東京大学 名誉教授/JR東京総合病院 名誉院長 髙戸 毅)