下歯槽神経まひ、オトガイ神経まひ、舌神経まひ〔かしそうしんけいまひ、おとがいしんけいまひ、ぜつしんけいまひ〕 家庭の医学

 親しらずの抜歯や下あごの骨折などによって、下あごの骨の中を通る下歯槽神経に損傷が加わると、その支配領域である下くちびる、オトガイ部、下あごの歯肉に感覚の異常(まひ感、しびれ感)が起こることがあります。感覚神経のため見た目ではわかりません。また頻度は高くありませんが、人によっては舌神経が親しらずの内側の粘膜の下を通っている場合があります。このような場合には、親しらずの抜歯によって舌がしびれ、味覚障害が生じます。
 ビタミンB12、神経賦活(ふかつ)薬などの服用をすると早く治ることがありますが、ほとんどは半年から1年くらいで回復します。しかし、永久的に症状が残る場合もあります。
 ほかの病気によって神経が圧迫されたり、障害されて感覚の異常が起こることがあります。このような症状があるときには、口腔(こうくう)外科で検査を受けてください。

(執筆・監修:東京大学 名誉教授/JR東京総合病院 名誉院長 髙戸 毅)
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