胃悪性リンパ腫〔いあくせいりんぱしゅ〕

 リンパ腫自体は元来リンパ節に発生する悪性腫瘍であり血液の病気に分類されますが、胃をはじめ消化管にも発生することがあります。悪性リンパ腫はがんにくらべて抗がん薬治療に良好に反応します。胃悪性リンパ腫は、GISTなどとは異なって内視鏡の鉗子(かんし)で押すとやわらかく感じられ、かたさでも鑑別が可能です。
 胃悪性リンパ腫は元来リンパ節の病気であり、リンパ節への転移もみとめられるため、手術治療はリンパ節郭清(かくせい)を伴う胃の切除をおこないます。胃悪性リンパ腫治療の主体は化学療法や放射線治療であり、手術の結果リンパ節にも悪性リンパ腫がみとめられた場合は、引き続いて化学療法や放射線治療をおこないます。

■MALTリンパ腫
 MALT(mucosa-associated lymphoid tissue:モルト)リンパ腫は、以前より胃悪性リンパ腫の一亜型で比較的悪性度が低いとされてきましたが、近年の研究によってその原因がヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)であると考えられるようになっています。
 まずヘリコバクター・ピロリの除菌がおこなわれていますが、除菌後にMALTリンパ腫が再発することもあり注意が必要です。ただし、ヘリコバクター・ピロリに感染していない場合は、放射線治療がおもにおこなわれます。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 教授〔食道胃外科〕 梶山 美明)
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