血圧のはかりかた

 血圧をはかるには、ふつう、血圧計を使います。一定の幅のマンシェット(布がかぶせてあるゴムのふくろ)を上腕(二の腕)に巻き、マンシェットの中の空気の圧を高めて上腕を締めつけ動脈内の血液をとめます。ついで、すこしずつゆるめて血流の起こり始めるときを聴診器で聞き、それが最大血圧です。最小血圧は、聴診器では音が聞こえなくなる時期に一致します。マンシェット内の圧は、電子圧力柱(疑似水銀)血圧計またはアネロイド計につないではかります。

 また、聴診器を用いないで音を感知する機械や、カフ圧の脈圧による圧振動を分析して血圧を測定する(オシロメトリック法)装置が内蔵され、自動的に血圧が表示されるものも用いられています(自動血圧計または電子血圧計)。
 現在市販されている家庭用の血圧計は、このような電子血圧計が主流を占めています。測定精度に関する信頼度は、おおむね満足すべきレベルです。また、カフを上腕に装着する機器が標準で、手くびや指にカフを装着して測定する機器は、誤差が生じやすくすすめられません。家庭用血圧計で測定した値が、医師にはかってもらった血圧値と大きく食い違っているときは、一度医師にチェックしてもらってください。
 診察室で測定した場合、健康成人の正常血圧は、安静にしているときに最大血圧が120mmHg未満、最小血圧が80mmHg未満、正常高値血圧は最大血圧が120~129mmHg、最小血圧が80mmHg未満となります。
 血圧は、ほぼ一定に保たれるとはいえ、時々刻々変動するものです。息を吸うときと吐くときでも違います。ふつう、睡眠中に下がり、朝、床の中ではかると低いものですが、起きて活動をはじめると、高くなります。座った姿勢と、寝たときでも血圧の変化がありますし、食事や運動などでも、もちろん上がります。ことに、精神的な影響を受けやすく、緊張すると上がります。たとえば、はじめての医師にかかるので、心配しているようなときには、血圧が高くなることがあります。ですから、血圧をはかるときは、平静な状態ではからないと、高くなりやすいのです。何度も深呼吸したりして、安静にしていると下がってくることが多いものです。
 高血圧は、わが国でもっとも多い病気の一つであり、いったん発症すると慢性化し、治療・管理がわるいと、脳卒中、心不全、腎不全などの余病を起こすものですから、機会があれば血圧の正しい測定方法を習っておき、できれば、職場や家庭に血圧計を備えて、なるべく頻繁に測定し、その記録を主治医に見せて相談するのがよいでしょう。
 測定は朝起きて1時間以内と寝る前に、座って1、2分安静にしたのちに測定します。朝の測定は排尿をすませ、食事や服薬の前におこないます。測定する場合には、正確でなければならないので、十分な指導を受け、まちがいやすい測定の誤差などについても知っておきましょう。病院などで医師や看護師に測定してもらうとき、自分で測定した値(なるべく同じ時間に測定する)と常に比較し、自分の血圧計を持参して、確かめてもらうのがよいでしょう。

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