苅尾七臣 医師 (かりおかずおみ)

自治医科大学附属病院

栃木県下野市薬師寺3311-1

  • 循環器内科
  • 主任教授

循環器科 内科

専門

循環器内科学、老年病学、高血圧と血栓症の病因並びに治療で、特に早朝・夜間高血圧に詳しい。

苅尾七臣

専門は循環器内科と老年医学で、高血圧と心血管疾患の病因・治療のエキスパートである。とくに早朝・夜間高血圧を含む血圧変動に起因する病態解明と早期発見、早期治療、予防にも力を注ぐ。心血管疾患の危険因子を有する外来通院中の患者5,000名を対象にした家庭血圧の予後予測能を評価する「日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究(J-HOP研究 =Japan Morning Surge - Home Blood Pressure study)」をはじめ、2009年からは全国の心血管ハイリスク患者1万名を対象に、24時間血圧モニタリングを行い、心血管疾患を追跡調査する「日本人における自由行動下血圧追跡研究(JAMP研究)」を開始した。この研究を基にABPM(24時間血圧モニタリング)のデータバンク構築に尽力し、これらの研究を通じて早朝血圧コントロールの重要性を指摘。地域医療の発展に役立てたいとしている。また、新規の家庭用血圧計の開発も手がける。高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)のほか睡眠時無呼吸症候群治療ガイドライン2010、24時間血圧計(ABPM)の使用基準に関するガイドライン2010の作成委員も務める。

診療内容

苅尾七臣医師は自治医科大学を卒業後、地方へ赴任した際に高齢者の患者が多かったことから、当初は老年学科の専門医を目指したという。
「70,80代の高齢になると半数以上の患者さんが高血圧を抱え、脳卒中や心臓病などの循環器疾患を恐れておられました。そうした疾患を回避するためには血圧のコントロールが大切になることから、高血圧の治療と予防に取り組み始めました」(苅尾医師)
一口に高血圧と言ってもその発生機序は患者それぞれによって異なるため、苅尾医師は1人ひとりにべストの治療を提供する“個別循環器診療”を心掛けている。
●高血圧について…常に血圧が高いタイプの持続性高血圧と、ストレスのかかる仕事中などに高い昼間高血圧や就寝中に高い夜間高血圧、あるいは朝が高い早朝高血圧など、1日の中での変動幅が大きいタイプとがある。後者は診察時以外の日常生活において血圧が高いため「仮面高血圧」といわれ、近年、注目されている。実際に仮面高血圧の患者は医療機関を訪れる高血圧未治療患者の10~15%、高血圧患者では20~25%を占めており、持続性高血圧だけでなく、早朝高血圧や夜間高血圧でも心疾患リスクが高くなる。したがって仮面高血圧についても早期に発見してその原因を探り、血圧平均値および血圧変動を低減する治療を行うことが望ましい。
仮面高血圧と同様に、高血圧症に向かっている“前高血圧”も早期発見が重要であると苅尾医師は指摘する。メタボリックシンドロームにおける血圧基準では上の血圧(収縮期血圧)が130~139mmHg、下の血圧(拡張期血圧)が85~89mmHgは“正常高値血圧”と分類されるが、ここに含まれる人では早朝高血圧の比率も高く、動脈硬化が進んでいる可能性もある。
さらに糖尿病とCKD(慢性腎臓)がある人の場合も、高血圧による心血管疾患の発症リスクが高くなるため、血圧変動性を把握し血圧管理をより厳格に行う必要がある。糖尿病や腎臓病を伴う場合は降圧目標も130/80㎜Hg未満と低めに設定されて(高血圧治療ガイドラインによる)おり、このような人は血圧が少しでも上がり始めたらすぐに治療を開始することが重要である。
●治療抵抗性高血圧と睡眠…睡眠は食事、運動に続く第三の介入可能な血管系リスクとして、現在、注目されている。一般的な降圧薬の併用による治療でも降圧効果が十分発揮されない、いわゆる治療抵抗性高血圧の場合、睡眠に起因することがある。とくに睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧患者の約1割が該当しSASが引き起こす夜間血圧上昇により心血管疾患の発生率が約6倍にもなるなどSASが循環器疾患のリスクファクターとなることが明らかになっている。
「睡眠不足や無呼吸が高血圧の要因となっている場合は、SASや不眠を改善する治療を行い、睡眠の状態をよくすると朝の血圧が下がり、降圧薬の効果も高まります」と苅尾医師。
睡眠は“睡眠時間”だけでなく、良く寝られたかの“睡眠の質”とも関連する。特に朝の血圧が高く、朝と寝る前の血圧の差が大きい場合には睡眠障害が隠れている可能性がある。

医師プロフィール

1987年 自治医科大学 卒業
1989年 兵庫県北淡町国民健康保険北淡診療所内科
1996年 自治医科大学循環器内科学助手
1998年 コーネル大学医学部循環器センター・ロックフェラー大学Guest investigator
2000年 自治医科大学循環器内科学講座講師
2004年 コロンビア大学医学部客員教授
2005年 自治医科大学COE(Center Of Excellence)教授・内科学講座循環器内科部門教授
2009年 自治医科大学内科学講座循環器内科部門主任教授
2014年 ロンドン大学循環器病学研究・客員教授(英国)
2016年 上海交通大学医学院・客員教授(中国)
2016年 延世大学校・学外教授(韓国)

「高血圧」を専門とする医師