南米出血熱〔なんべいしゅっけつねつ〕

 南米大陸におけるアレナウイルス科のウイルスによる出血熱の総称で、アルゼンチン出血熱、ブラジル出血熱、ベネズエラ出血熱、ボリビア出血熱があり、それぞれ、アレナウイルス科のフニンウイルス、サビアウイルス、ガナリトウイルス、マチュポウイルスというウイルスの感染によって起こります。
 おもな感染経路は、ウイルス保有ネズミの排泄物、唾液、血液などとの接触です。潜伏期は7~14日で、初期症状として突然の発熱、筋肉痛、悪寒(おかん)、背部痛、消化器症状がみられます。3~4日後には衰弱、嘔吐(おうと)、めまいなどが出現し、重症例では高熱、出血傾向、ショックがみとめらます。致死率は30%にのぼるとされています。
 確定診断には、血液、脳脊髄液、尿からのウイルスの分離、PCR PCR(polymerase chain reaction)法によるウイルス遺伝子の検出、血清抗体検査などがあります。特異的な治療法はなく、対症療法のみです。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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