マールブルグ病〔まーるぶるぐびょう〕 家庭の医学

 原因病原体はマールブルグウイルスです。ケニア、ジンバブエ、コンゴ、ウガンダなどアフリカで散発例がありますが、感染経路は不明です。1967年にヨーロッパでウガンダから輸入したサルの血液・体液、組織などを介した感染が知られています。日本には存在しません。人から人への感染は、患者の血液・体液による接触感染と飛沫(ひまつ)感染と考えられています。
 症状は急激な発熱、頭痛、筋肉痛で始まり、その後5日目ごろから体幹部に斑状発疹(ほっしん)が出現します。
 さらに腹痛、下痢、嘔吐(おうと)などもあらわれ、進行性で出血や肝機能障害、黄疸(おうだん)、脊髄炎、意識障害、多臓器不全などにおちいります。死亡率は25%前後です。
 確定診断には血液、咽頭ぬぐい液、尿からのウイルスの分離・同定、ウイルス抗原の検出、ウイルス遺伝子のPCRPCR(polymerase chain reaction)法による検出が有用です。マールブルグウイルスに対する特異的血清IgM抗体(初期に出現する)、IgG抗体の検出も可能です。
 治療は、対症療法となります。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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