ラッサ熱〔らっさねつ〕 家庭の医学

 原因病原体はラッサウイルスで、ナイジェリア、シエラレオネ、ギニア、リベリアなど西アフリカにみられます。
 ラッサウイルスを保有するマストミス(ネズミ)の唾液、尿を介して感染すると考えられます。感染マストミスの唾液、尿には多量のウイルスが存在し、これに直接触れたり、これで汚染された食物を食することにより感染し、毎年20万人前後が感染しているといわれています。死亡率は10%程度です。
 人から人への感染は、患者の血液・体液による接触感染です。日本ではみられませんが、海外(アフリカ)で感染し帰国後、治療された例が過去にありました。
 症状は高熱、筋肉痛、腹痛、嘔吐(おうと)、下痢、ショック、粘膜出血などです。胸膜炎心膜炎などを起こすこともあります。
 確定診断には血液、咽頭ぬぐい液、尿からのウイルス分離・同定、ウイルス抗原の検出、PCR(polymerase chain reaction)法によるウイルス遺伝子の検出、特異的血清抗体(IgM抗体、IgG抗体)の検出などが使われます。治療にはリバビリンが効くと考えられています。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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