二酸化硫黄〔にさんかいおう〕
かつては四日市や川崎などで、大気汚染による健康障害の主要な原因物質でしたが、いまは脱硫技術が進み、一般環境濃度は大幅に改善しています。しかし、製錬所などでは作業者は非常に高濃度の二酸化硫黄にさらされます。強い刺激性があり、気道がけいれんしてぜんそく様の症状をひき起こします。二酸化硫黄には、強い刺激性があるため、その発生が多い火山地帯などで健康な人は逃げるなどして命にかかわることはあまりないといわれてきましたが、ぜんそくなどの基礎疾患のある人では、かなり低濃度でも重積発作から呼吸障害を起こし、死亡事故が起こっています。このように二酸化硫黄は個人の体質による有害性の差が大きいため、個人の感受性を考慮した対策が必要です。
(執筆・監修:帝京大学 名誉教授〔公衆衛生学〕 矢野 栄二)