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【岡山大学】膵がんを取り囲み、治療を阻む「線維化障壁」の形成にかかわるタンパク質「ROCK2」を同定!~形成メカニズムと克服法の解析を可能とする実験基盤を確立~

国立大学法人岡山大学
岡山大学と東京大学大学院工学系研究科の共同研究成果プレスリリースです


2024(令和6)年 4月 28日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/




<発表のポイント>
代表的な難治がんである膵がんでは、がん細胞周囲の「線維化」が、薬剤のがん細胞への到達に対する「障壁」となり、治療成績を悪化させます。

膵がんの「線維化」を試験管内で再現する独自の立体培養技術を駆使し、「線維化障壁」が形成されるメカニズムを解析しました。

線維化障壁形成に関与するタンパク質ROCK2の同定に成功し、今後、膵がんにおける「線維化障壁」を克服し、治療成績を改善するための足掛かりとなることが期待されます。




◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の狩野光伸教授、岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)の田中啓祥助教、東北大学大学院医学系研究科の正宗淳教授、東京大学大学院工学系研究科のカブラル・オラシオ准教授らの研究グループは、膵がんの特徴であり難治化の原因である「線維化障壁」の形成にタンパク質ROCK2が関与することを明らかにしました。

 これらの研究成果は2024年3月29日、科学雑誌「Journal of Controlled Release」に掲載されました。

 多くのがんの治療成績が近年改善している中で、膵がんの5年生存率は未だ1割ほどに留まっています。膵がんが難治である原因として、がん細胞周囲に特徴的に認められる「線維化」があります。線維化は、薬剤のがん細胞への到達を阻む障壁となり、膵がんの治療成績を悪化させます。これまで「線維化障壁」を実験的に再現することは難しく、詳細なメカニズムの解析は困難でした。

 本研究では、独自の立体培養技術を駆使して、線維化障壁形成メカニズムの解析に挑み、タンパク質ROCK2の関与を突き止めました。本研究成果は、既に他の疾患での適応を目的として開発が進んでいるROCK2に対する薬剤の利用による「線維化障壁」の克服の可能性を示唆するもので、膵がんの治療成績の改善を実現していく足掛かりとなることが期待されます。

 本情報は、2024年4月22日に岡山大学から公開されました。



図. 独自立体培養技術を利用することにより本研究で確立した試験管内の膵がん「線維化障壁」の模式図(上段)、作成した線維化組織中のコラーゲン線維沈着の様子を示した顕微鏡写真(下段)。タンパク質ROCK2を標的化(左が標的化なし、右が標的化あり)することで、コラーゲン沈着量が減少し、薬剤通過効率が改善する。ROCK2標的化によって、薬物通過効率は約4倍増加、コラーゲン沈着量は約6割減少した(右グラフ)。


◆狩野光伸教授からのひとこと
 田中助教と大学院生の中澤拓也さん(大学院ヘルスシステム統合科学研究科博士後期課程)が頑張って形にしました。このプロジェクトは、田中助教が2019年秋に参加した、若手研究者が集まる会での議論から始まったもので、まさに知識・知恵を寄せ合って実現したプロジェクトです。「打倒・膵がん!」を掲げて、今後もチーム一丸となって取り組んでいきますので、ご一緒いただける方は是非お声がけください。




◆論文情報
 論 文 名:Targeting ROCK2 improves macromolecular permeability in a 3D fibrotic pancreatic cancer microenvironment model
 掲 載 紙:Journal of Controlled Release
 著  者:Hiroyoshi Y. Tanaka, Takuya Nakazawa, Takuya Miyazaki, Horacio Cabral, Atsushi Masamune, Mitsunobu R. Kano
 D O I:10.1016/j.jconrel.2024.03.041
 U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168365924001949?dgcid=author


◆研究資金
 本研究は、科研費(JP23H02653, JP22H03051, JP 26293119, JP23K06279, JP20K16989)、公益財団法人 日本膵臓病研究財団、公益財団法人 両備檉園記念財団、公益財団法人 稲盛財団、公益財団法人 薬学研究奨励財団、公益財団法人 山陽放送学術文化・スポーツ振興財団、公益財団法人 川崎医学・医療福祉学振興会の支援を受けて実施しました。


◆詳しい研究内容について
 膵がんを取り囲み、治療を阻む「線維化障壁」の形成にかかわるタンパク質「ROCK2」を同定!~形成メカニズムと克服法の解析を可能とする実験基盤を確立~
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240422-1.pdf


◆参 考
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科
 https://www.gisehs.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)
 https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科 医療技術臨床応用学/薬学部 臨床応用薬学(狩野研究室)
 https://sites.google.com/view/kanolab-ph-biol-gsisehs-ou/







◆本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域 教授 狩野光伸
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 薬学部1号館 4階
 TEL&FAX:086-251-7970
 https://sites.google.com/view/kanolab-ph-biol-gsisehs-ou/home?authuser=0

 岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(薬)助教 田中啓祥
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 薬学部1号館 4階
 TEL&FAX:086-251-7967

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html


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