本人の“幹細胞”から本人の“顔”を再現した人工全顔皮膚モデルの作製に成功!
日本メナード化粧品 総合研究所
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、皮膚幹細胞の培養技術を活用し、独自の人工皮膚モデルを作製することで、化粧品の開発に役立ててきました。今回、幹細胞の3次元培養技術を改良し、本人の“細胞”から本人の“顔”を再現した人工全顔皮膚モデルの作製に成功しました。
皮膚は再生能力に長けた組織であり、その再生を担っているのが幹細胞です。近年では、幹細胞を応用したティッシュ・エンジニアリング(組織を体外で人工的に作る技術)の研究が進歩し、体外で皮膚組織を再構築した人工皮膚は再生医療の分野でいち早く実用化されています。メナードでは、これまでに、安定的な人工皮膚モデルの作製やその応用性について研究を進めてきました*1。一方で、従来の人工皮膚モデルは平坦なシート状のものが一般的であり、実際のヒト皮膚の外観や質感、顔の形などを再現することは困難でした。
そこで、メナードは、よりリアルなその人の皮膚を再現した人工皮膚モデルの開発に取り組み、その人の幹細胞から全顔を再現する技術の開発を進めてきました。今回の研究では、幹細胞の3次元培養に適した足場材料を選定し、さらに、侵襲性の低い抜去毛包の幹細胞を用い、顔形状の人工皮膚モデルを作製することで、本人の“幹細胞”から本人の“顔”を再現した人工全顔皮膚モデルの開発に成功しました。
本技術により、個人の顔形状と皮膚性状を反映した人工皮膚モデルを作製することができ、個人の感受性に対応した皮膚の刺激因子(紫外線など)の評価や、有効性の評価に加え、個人の顔の老化予測等を行うことが可能となり、パーソナルな美容サービスや化粧品の開発、創薬など幅広い分野での応用が期待されます。また、従来のような摘出皮膚からの細胞採取を必要とせず、侵襲性の低い抜去毛包から任意の形状を有した人工皮膚モデルを簡便に作製できることから、患部の形状に合わせた新しい皮膚の移植医療への応用にも期待されます。
本研究成果は2024年11月2日~3日に盛岡で開催された第29回日本顔学会大会にて発表しました。
*1 2020年3月25日 ニュースリリース 刺激に敏感な肌を再現した新たな皮膚モデルを開発!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000048666.html
<参考資料>
1.ヒト顔形状を再現した人工全顔皮膚モデルの作製技術の確立
従来の人工皮膚モデルは平坦なシート状ですが、再生医療や化粧品及び創薬の研究においては、生体の複雑な3次元形状を反映した人工皮膚モデルが求められます。本研究では、皮膚の幹細胞の培養に適した足場材料と培養条件を検討し、複雑な形状である代表的な部位として、「顔」の形状を再現した人工皮膚モデルの開発を試みました。
(1)培養に適した足場材料の選定
細胞培養により「顔」のような複雑な立体構造を再現した人工皮膚を作製するためには、細胞培養の足場として使用する素材が重要であり、高い「成型性」と培地の「含水性」などを兼ね備える必要があります。これらの性質を満たす素材として、これまで化粧品などにも用いられてきた種々のハイドロゲルを応用し、今回の研究では、ゲル化時間のコントロールが可能な、作業性に優れるアルギン酸ハイドロゲルを選定しました。アルギン酸ハイドロゲルは、全顔を模した鋳型に注ぎゲル化させることで、顔形状を再現した細胞培養の足場を作製することが可能になりました。
(2)人工全顔皮膚モデルの作製
人工全顔皮膚モデルの作製に関しては、これまでにメナードが確立した幹細胞の培養技術を応用し、真皮幹細胞を含有したコラーゲンゲル(人工真皮層)の表面に、表皮幹細胞を播種した組織を作製したものを、顔形状を再現したアルギン酸ハイドロゲルの培養足場に被覆させた後、皮膚組織を再生しました。
皮膚組織を再生した人工全顔皮膚モデルは、足場全体が皮膚組織で覆われており、立体的に顔の皮膚を再現できていることが確認できました。また、病理学的な評価から、表皮と真皮が形成され皮膚組織が構築できていることを確認しました。
2.抜去毛の毛包幹細胞を用いた、本人の幹細胞から再現した人工全顔皮膚モデルの開発
顔の形や肌の性質などは個人で異なります。また、紫外線や有効成分などに対する感受性にも個人差があることが知られています。そのため、本人の細胞を用いて、その人の皮膚の性質を反映した人工全顔皮膚モデルが作製できれば、よりパーソナルな美容の研究が可能になります。
そこでメナードでは、侵襲性の低い抜去毛包から採取した幹細胞を用いることで、個人(毛包のドナー)の皮膚を再現した人工全顔皮膚モデルの作製に取り組みました。
ドナーから抜去した毛髪の毛包組織から幹細胞を採取し、人工全顔皮膚モデルを作製しました。この方法で作製した人工全顔皮膚モデルは、その人の細胞から、その人の顔の形の皮膚を再現しており、このモデルを活用すれば、個人の感受性に対応した皮膚の刺激因子(紫外線など)の評価や、有効性の評価、個人の顔の老化予測等を行うことが可能となり、パーソナルな美容サービスや化粧品の開発、また創薬や医療への応用が期待されます。
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日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、皮膚幹細胞の培養技術を活用し、独自の人工皮膚モデルを作製することで、化粧品の開発に役立ててきました。今回、幹細胞の3次元培養技術を改良し、本人の“細胞”から本人の“顔”を再現した人工全顔皮膚モデルの作製に成功しました。
皮膚は再生能力に長けた組織であり、その再生を担っているのが幹細胞です。近年では、幹細胞を応用したティッシュ・エンジニアリング(組織を体外で人工的に作る技術)の研究が進歩し、体外で皮膚組織を再構築した人工皮膚は再生医療の分野でいち早く実用化されています。メナードでは、これまでに、安定的な人工皮膚モデルの作製やその応用性について研究を進めてきました*1。一方で、従来の人工皮膚モデルは平坦なシート状のものが一般的であり、実際のヒト皮膚の外観や質感、顔の形などを再現することは困難でした。
そこで、メナードは、よりリアルなその人の皮膚を再現した人工皮膚モデルの開発に取り組み、その人の幹細胞から全顔を再現する技術の開発を進めてきました。今回の研究では、幹細胞の3次元培養に適した足場材料を選定し、さらに、侵襲性の低い抜去毛包の幹細胞を用い、顔形状の人工皮膚モデルを作製することで、本人の“幹細胞”から本人の“顔”を再現した人工全顔皮膚モデルの開発に成功しました。
本技術により、個人の顔形状と皮膚性状を反映した人工皮膚モデルを作製することができ、個人の感受性に対応した皮膚の刺激因子(紫外線など)の評価や、有効性の評価に加え、個人の顔の老化予測等を行うことが可能となり、パーソナルな美容サービスや化粧品の開発、創薬など幅広い分野での応用が期待されます。また、従来のような摘出皮膚からの細胞採取を必要とせず、侵襲性の低い抜去毛包から任意の形状を有した人工皮膚モデルを簡便に作製できることから、患部の形状に合わせた新しい皮膚の移植医療への応用にも期待されます。
本研究成果は2024年11月2日~3日に盛岡で開催された第29回日本顔学会大会にて発表しました。
*1 2020年3月25日 ニュースリリース 刺激に敏感な肌を再現した新たな皮膚モデルを開発!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000048666.html
<参考資料>
1.ヒト顔形状を再現した人工全顔皮膚モデルの作製技術の確立
従来の人工皮膚モデルは平坦なシート状ですが、再生医療や化粧品及び創薬の研究においては、生体の複雑な3次元形状を反映した人工皮膚モデルが求められます。本研究では、皮膚の幹細胞の培養に適した足場材料と培養条件を検討し、複雑な形状である代表的な部位として、「顔」の形状を再現した人工皮膚モデルの開発を試みました。
(1)培養に適した足場材料の選定
細胞培養により「顔」のような複雑な立体構造を再現した人工皮膚を作製するためには、細胞培養の足場として使用する素材が重要であり、高い「成型性」と培地の「含水性」などを兼ね備える必要があります。これらの性質を満たす素材として、これまで化粧品などにも用いられてきた種々のハイドロゲルを応用し、今回の研究では、ゲル化時間のコントロールが可能な、作業性に優れるアルギン酸ハイドロゲルを選定しました。アルギン酸ハイドロゲルは、全顔を模した鋳型に注ぎゲル化させることで、顔形状を再現した細胞培養の足場を作製することが可能になりました。
(2)人工全顔皮膚モデルの作製
人工全顔皮膚モデルの作製に関しては、これまでにメナードが確立した幹細胞の培養技術を応用し、真皮幹細胞を含有したコラーゲンゲル(人工真皮層)の表面に、表皮幹細胞を播種した組織を作製したものを、顔形状を再現したアルギン酸ハイドロゲルの培養足場に被覆させた後、皮膚組織を再生しました。
皮膚組織を再生した人工全顔皮膚モデルは、足場全体が皮膚組織で覆われており、立体的に顔の皮膚を再現できていることが確認できました。また、病理学的な評価から、表皮と真皮が形成され皮膚組織が構築できていることを確認しました。
2.抜去毛の毛包幹細胞を用いた、本人の幹細胞から再現した人工全顔皮膚モデルの開発
顔の形や肌の性質などは個人で異なります。また、紫外線や有効成分などに対する感受性にも個人差があることが知られています。そのため、本人の細胞を用いて、その人の皮膚の性質を反映した人工全顔皮膚モデルが作製できれば、よりパーソナルな美容の研究が可能になります。
そこでメナードでは、侵襲性の低い抜去毛包から採取した幹細胞を用いることで、個人(毛包のドナー)の皮膚を再現した人工全顔皮膚モデルの作製に取り組みました。
ドナーから抜去した毛髪の毛包組織から幹細胞を採取し、人工全顔皮膚モデルを作製しました。この方法で作製した人工全顔皮膚モデルは、その人の細胞から、その人の顔の形の皮膚を再現しており、このモデルを活用すれば、個人の感受性に対応した皮膚の刺激因子(紫外線など)の評価や、有効性の評価、個人の顔の老化予測等を行うことが可能となり、パーソナルな美容サービスや化粧品の開発、また創薬や医療への応用が期待されます。
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(2024/11/07 10:30)
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