皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の一般的なサブタイプとして、菌状息肉症(MF)およびセザリー症候群(SS)がある。これまで、難治性MF/SSに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の単独療法または併用療法の有効性について、一貫した結果は得られていない。米・Abramson Cancer Center, University of PennsylvaniaのOmar Elghawy氏らは、自施設で抗PD-1抗体ペムブロリズマブによる治療を受けたMF/SS患者を後ろ向きに解析する症例集積研究を実施。結果をJAMA Dermatol(2025年4月2日オンライン版)に報告した。(関連記事「抗菌薬で皮膚T細胞性リンパ腫抑制を初報告」)
2017年12月~23年12月に治療を受けた30例が対象
Elghawy氏らは、2017年12月~23年12月にUniversity of Pennsylvaniaでペムブロリズマブを投与されたMF/SS患者30例(年齢中央値68歳、範囲52~79歳、男性56.7%)を同定。
主な背景は表の通り。サブタイプはMFが63.3%、SSが36.7%、進行例が70%、ペムブロリズマブの投与スケジュールは3週間隔で200mgが大半を占め、単独療法が73.3%、併用療法が26.7%、治療期間中央値は4.5カ月(範囲1.6~11.1カ月)、追跡期間中央値は20.4カ月(同6.4~78.4カ月)だった。併用療法の内訳(重複あり)は、インターフェロン(IFN)-γが2例、トポイソメラーゼⅡ阻害薬ドキソルビシン、HDAC阻害薬ボリノスタットが各1例、放射線療法が6例(局所放射線治療4例、全身皮膚放射線治療2例)。全身療法の前治療歴はHDAC阻害薬が43.3%、抗CCR4抗体モガムリズマブが36.7%で、治療期間中央値は3カ月(範囲1~8カ月)だった。
表. 患者背景
ORRは48%、PFS中央値は7.4カ月、OS中央値は20.6カ月
全奏効率(ORR)が評価可能だったのは29例。解析の結果、ORRは48%(14例:完全奏効5例、部分奏効9例)、奏効期間中央値13.1カ月(範囲3.1~59.5カ月)で、単独療法例では46%(11/24例)で、早期例では77.7%(9例中7例)、進行期例では35%(20例中7例)だった。
コンパートメント別に奏効率を見ると、皮膚が55%(16/29例)で最も高く、リンパ節の54%(7/13例)、内臓の50%(2/4例)、血液の44%(4/9例)の順だった。個々の症例の治療情報を図に示す。
図. 治療成績
(表、図ともJAMA Dermatol 2025年4月2日オンライン版)
次治療までの期間中央値は5.7カ月(範囲0.8~60.4カ月)、全体の無増悪生存(PFS)中央値は7.4カ月(95%CI 3.5~14.1カ月)、全生存(OS)中央値は20.6カ月(同10.0~34.2カ月)だった。
単変量解析では、OSの短縮に関連する有意な変数としてHDAC阻害薬による治療歴、ECOGスコア2以上、血中腫瘍負荷高値(B2)、大細胞型形質転換あり、治療ライン5以上が抽出されたが、多変量解析では有意な変数はなかった。
安全性を見ると、免疫関連有害事象は13例(43%)に発現したものの、grade 1/2が大半(11例)で、grade 4/5はなかった。内訳は、皮膚系が5例、内分泌系が4例、消化器系が3例 で、ステロイドの全身投与を要したのは4例、発現後もペムブロリズマブを継続投与したのは8例だった。治療中止は26例(病勢進行15例、治療に関連しない疾患と不耐容が各3例)。最終フォローアップ時に生存していたのは15例(50%)、ペムブロリズマブを継続していたのは4例(13%)だった。
以上を踏まえ、Elghawy氏らは「ペムブロリズマブは、前治療歴がある患者を含む全てのMF/SSコンパートメントにおいて有効性を示した。ただし、治療ラインが5未満例と比べ、5以上例ではPFSとOSが不良であり、早期の使用が有益であることが示唆された」と結論。「今後、ペムブロリズマブを投与されたCTCL患者における併用療法と予測バイオマーカーについて、前向き臨床試験で検討する必要がある」と付言している。
(編集部・関根雄人)