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耳がふさがったような感じがする、自分の声や呼吸の音が耳に大きく響く、といった症状が長引くようであれば、耳管開放症かもしれない。「人の話し声が聞き取りにくく、気持ちが沈むことがあります」と細田耳鼻科EAR CLINIC(大阪府豊中市)の細田泰男院長は話す。
自分の声が響いて、聞き取りづらくなる
▽めまいや難聴も
耳の鼓膜の奥にある中耳と鼻の奥は、耳管という細い管でつながっている。耳管は通常閉じていて、圧力調整が必要なときだけ開く。そうすることで鼓膜の振動を安定させ、物音や人の話し声などを聞きやすい状態に保っている。
ところが、耳管開放症では耳管が開いたままになってしまう。そのため、鼻から中耳へ空気が流れ込み、呼吸のたびに鼓膜が振動して自分の鼻呼吸の音や声が大きく響いたり、耳がふさがれたような感覚に陥ったりする。めまいを起こすこともある。細田院長は「聴覚神経が疲弊すると、難聴になることもあります」と指摘する。
発症の背景には急激な体重の減少がある。体重減少により耳管周辺の脂肪が減って耳管が広がるからで、ダイエット後の若い女性や食が細くなる高齢者、出産後の女性に多いという。
症状は、横になったり前かがみになったりすると軽減、または消失するのが特徴だ。また、軽度のうちは鼻をすすると一時的に症状が軽減されるので、耳管開放症と気付かないまま過ごし、症状が悪化した状態で受診することが少なくない。鼻すすりで雑菌が中耳に入りやすくなり、中耳炎を発症することがある。「中耳炎の受診時に耳管開放症が見つかるケースもあります」と細田院長。
▽漢方薬や点鼻薬で治療
耳管開放症が疑われる場合は、耳管の機能を測定する検査を行い、呼吸時に鼓膜が動いてしまっていないかを視診する。決定的な治療法はないが、〔1〕漢方薬の加味帰脾湯(かみきひとう)を服用する〔2〕薬や生理食塩水を点鼻する〔3〕鼓膜に医療用のテープを貼る―などで症状を軽減させる。細い管を耳管に挿入し耳管を狭める治療法もあるが、自費診療になる上、受けられる施設は限られる。
自分の声が大きく反響すると、人の話が聞き取りにくくなる。次第に会話を避けるようになり、精神的に参ってしまう人もいるという。細田院長は「聞こえ方に違和感を覚える、気付いたら鼻をすすっているというようなことがあれば、早めに受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/04/05 17:58)
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