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女性の出産年齢は近年上がる傾向にあるが、妊娠のしやすさや母体、胎児への負担などの知識が浸透しているとは言い難い。40歳以上の妊娠の実態や問題点について、東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)リプロダクションセンターの片桐由起子教授に聞いた。
加齢と卵子数の減少
▽知られていない卵子の老化
厚生労働省の2016年人口動態統計によると、第1子出産の平均年齢は30.7歳。近年、35歳以上の出産が増加し、16年に40~44歳の女性が出産した子どもの数は、約20年前に比べて4倍以上に増えている。
とはいえ、年齢を重ねるとともに、妊娠率が下がるという事実に変わりはない。妊娠を望むのであれば、不妊の大きな要因となる卵子の老化について正しい知識を持つことが大切だが、片桐教授は「驚くほど知られていない」と問題視する。卵子は、生まれる前の胎児の時に、一生分(最大600万~700万個)が作られ、時間とともに減り続ける。37歳あたりから急速に減少し、51歳前後にはゼロに近づき、閉経を迎える。
▽生活習慣病のリスクも
さらに、高齢になると卵子の質が低下して、うまく受精できなくなる。「卵子の年齢は女性の年齢プラス1歳です。卵子も確実に老化していくのです」と片桐教授。老化により卵子の染色体が正常に細胞分裂する可能性が低下し、子宮内膜に着床しないか、たとえ着床しても生育せずに自然淘汰(とうた)されることが多くなるという。
不妊治療の効果も低くなる。日本産科婦人科学会によると、不妊治療による妊娠率は、胚移植当たり、35歳では24.3%だが、40歳では14.8%、45歳になると2.8%に低下する。
無事に妊娠した後も、加齢によって生活習慣病のリスクが上がる。血圧が高くなる妊娠高血圧症候群や、血糖値が高くなる妊娠糖尿病になる妊婦が増える。胎児の発育不全や常位胎盤早期剥離などの恐れも高まる。
不妊治療は、排卵に合わせて性交するタイミング法から、人工授精、体外受精、そして卵子と精子を採取し、顕微鏡で見ながら精子を卵子の中に注入する顕微授精と、より高度な方法へとステップアップしていくことが基本だ。
片桐教授は「避妊せずに性交して1年たっても妊娠しない場合は、早めに不妊治療外来のある病院で男女両方の原因を調べ、そろって治療することを勧めます」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/07 12:17)
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