治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
顔、喉、腹部、四肢、陰部などに強いむくみ(浮腫)が表れ、2~3日、長くても5日ほどで元に戻る。こんな「むくみ発作」を繰り返す人は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の可能性が高い。激しい腹痛や呼吸困難に陥ることもあり、仕事や学業にも影響する病気だ。2018年11月に発作時に自分で注射する治療薬が登場し、速やかな症状の緩和が可能になった。
発作時の症状
▽8割以上で血縁者に同じ病気
埼友草加病院(埼玉県草加市)の大澤勲院長によると、HAEは5万~10万人に1人の割合で発生するまれな病気だ。患者数は全国で約2500人と推定されるが、大半がHAEとは診断されていない。患者の8割以上は血縁者に同じ病気の人がおり、親から遺伝する確率も2分の1と高い。
HAEのむくみはじんましんとは異なり、正常部位との境がはっきりしており、赤みやかゆみを伴うことはない。むくみ発作の頻度は週に数回の人もいれば、月単位、年単位で起こる人もいるなど、間隔はさまざまだ。
発作が喉に起きると、気道がふさがれて呼吸ができなくなり、命に関わることもある。腹部に起きると、強い腹痛や吐き気に襲われる。
また、多くの場合、初発症状は小児期から思春期に表れており、手術、歯科治療、疲れ、精神的ストレスなどが症状出現の引き金になることがある。
▽前進する治療薬の開発
むくみ発作が起きるのは、遺伝子の異常により、血中の「C1インヒビター」と呼ばれる物質が不足またはその機能を低下させ、血管に働くブラジキニンという物質が増え過ぎて、血管内の水分が血管外に漏れ出るためだ。治療薬はこれまで、C1インヒビターを補充する注射薬しかなく、医療機関を受診しないと治療を受けられなかった。しかし、28年ぶりの新薬として、むくみの原因となるブラジキニンに直接作用する「イカチバント」(商品名フィラジル)という薬が18年11月から発売が始まった。発作時に患者自身で注射できる薬剤だ。
臨床試験では注射後約2時間でむくみが軽くなった。大澤院長は「イカチバントによって、命の危険や生活の質を低下させる負の影響はかなり小さくなるはず」と期待する。さらに、むくみ発作の予防を目的とする新薬の登場が見込まれており、大澤院長は「治療は大きく進歩している。疑わしい症状がある人はぜひ診察を受けてほしい」と呼び掛ける。
治療を受けられる医療機関は、HAE情報センターのウェブサイトで検索できる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/15 06:00)
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