じんましん 家庭の医学

 ちょうど、虫に刺されたあとのように、淡紅色の膨疹(ぼうしん:浮腫〈ふしゅ〉性の発疹〈ほっしん〉)ができるものです。かゆく、ひっかくと、そのすじに沿って皮膚が赤くはれてきます。個々の発疹は30分から2~3時間で跡形もなく消えますが、いっぽう、次々に新しいものができてなかなか治りません。
 イラクサ(蕁麻)に刺されたあとのようにはれるので、“じんましん”という名があるのです。イラクサのトゲにはヒスタミン物質が含まれています。


[原因]
 皮膚末梢の毛細血管透過性の亢進(こうしん)が膨疹の原因です。それを誘発する物質(化学伝達物質)の多くは肥満細胞から出るヒスタミンで、かゆみの原因となります。
 かゆみを生じる物質の直接刺激ではなく、抗原抗体反応(アレルギー反応)によってじんましんの出てくることもあります。これは、ある原因物質(抗原)が一度体内に入ると抗体が産生され、ふたたび同じ物質、あるいは似た物質が体内に入ると、これを排除しようとして抗原抗体反応が起こります。この結果、血中の肥満細胞から、かゆみを起こす物質(ヒスタミン、アセチルコリン、セロトニン)が産生されて、じんましんが起こるのです。
 抗原としては、食物(魚介、肉、生乳、卵など)、薬剤(ペニシリン、ピリンなど)、ほこり、香料など、なんでも抗原になりえます。圧迫、摩擦(人工じんましん)、温熱、ウイルスや細菌感染、ストレスも原因、あるいは誘因になります。
 はっきりした原因のわかるじんましんもありますが、そうでないじんましんも多いのです。長く続く慢性のじんましんの多くは原因がよくわかりません。
 
[治療]
 抗ヒスタミン薬を内服します。また原因がわかれば、それを除くことが大切です。比較的新しい抗ヒスタミン薬は肥満細胞でのヒスタミン産生も抑えますが、古くからの抗ヒスタミン薬は産生されたヒスタミンの作用を抑えます。治療中断で再発することもありますが、根気よく治療しましょう。
 重症のときは副腎皮質ステロイドを内服すると、短期間でじんましんの発生を抑えることができます。


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