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金沢市で11日まで3日間開かれた日本消化器病学会総会のワークショップ「機能性消化管障害診療の科学的エビデンス」で、東海大学医学部消化器内科の古賀泰裕客員教授は、原因が判然としない「胃痛」や「胸焼け」「不快感」などに腸内細菌の胃への逆流が関与している可能性などについての研究結果を発表した。
古賀泰裕・東海大学医学部消化器内科客員教授
「胃が痛い」「もたれる」「不快感がある」といった症状があるものの、内視鏡検査を行っても明確な異常がみつからないケースは少なくない。こうした症状は近年、「機能性ディスペプシア(FD)」に分類されており、有効な対処法を見つけるのが難しいケースも多い。
古賀客員教授は、FD要因としての胃液内細菌の関与、プロバイオティックス(人体に良い影響を与える微生物や微生物を含む製品)の胃液内細菌に対する働きについての研究を紹介。この研究は(1)FD患者24人と健常者21人を対象に早朝空腹時に胃液を採取して細菌を解析・比較(2)FD患者がプロバイオティックスとして乳酸菌LG21ヨーグルトを1日1個12週間摂取した後に再度胃液を採取して、乳酸菌LG21摂取前と比較-して行った。
その結果、FD患者は腸内細菌、中でも病原性を持つ大腸菌が健常者よりも多く検出され、乳酸菌LG21の摂取により、こうした腸内細菌の減少がみられた。また、大腸菌が死滅したのちに残る菌体成分「LPS」は炎症を引き起こすことが分かっている。これを踏まえてFD患者と健常者で胃液におけるLPSを比較したところ、FD患者に多い傾向が出たほか、乳酸菌LG21の摂取により、このLPSが減少し、FD症状の改善もみられた。
この研究を踏まえて古賀客員教授は「FD患者は腸内容物の胃への逆流が頻発し、これが病態に関与している可能性が示唆された」とした。
(2019/05/14 11:00)
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