機能性ディスペプシア〔きのうせいでぃすぺぷしあ〕
機能性ディスペプシア(Functional dyspepsia:FD)は、食後の胃もたれやみぞおちの痛み、不快感などの症状をひき起こす病気です。内視鏡検査や血液検査をおこなってもあきらかな器質的な異常が見つからない場合に、この診断がつけられます。FDには、これまで「神経性胃炎」や「胃けいれん」と診断されていたケースが含まれていると考えられています。
[症状と頻度]
FDのおもな症状は以下のようなものです。
●胃もたれ
少量の食事でも胃が重く感じられる。
●早期満腹感
食事を始めてすぐに満腹を感じてしまう。
●みぞおちの痛みや灼熱感
空腹時や夜間に悪化することもある。
日本では成人の約10~15%がFDの症状を経験しているとされ、特に女性に多くみられる傾向があります。
[原因とメカニズム]
FDの原因は完全には解明されていませんが、以下のような因子が複雑に関与していると考えられています。
1.消化管の動きの異常
胃の運動機能が低下し、食べ物が適切に消化管内を移動しない状態。
2.消化管の過敏性
胃がわずかな刺激に対しても痛みや不快感を感じやすくなっている状態。
3.ストレスや心理的要因
不安やうつ状態が症状を悪化させる可能性があります。
4.生活環境や食生活
不規則な食事や脂っこい食事、アルコール摂取が関連する場合もあります。
5.ヘリコバクター・ピロリ感染
ピロリ菌感染やその除菌治療後の胃の変化が症状に関連している場合があります。
これらの因子が絡み合い、症状をひき起こしていると考えられています。
[治療と対策]
FDの治療では、症状に合わせた薬物療法や生活習慣の改善がおこなわれます。
1.薬物療法
●酸分泌を抑える薬
プロトンポンプ阻害薬(PPI)、カリウム競合型酸分泌抑制薬(P- CAB)
●胃の運動を改善する薬
アコチアミド、六君子湯、モサプリドなどの消化管運動促進薬
●神経調節薬
痛みの過敏性を抑える低用量の抗うつ薬など
2.生活習慣の改善
●規則正しい食生活を心掛ける。
●脂っこい食事やアルコール、カフェインの摂取を控える。
●ストレスを軽減するためのリラクゼーションを取り入れる。
3.ピロリ菌感染の対応
ピロリ菌感染が確認された場合、除菌治療がおこなわれることがあります。除菌により症状が改善することもありますが、すべての患者に効果があるわけではありません。
[注意]
FDは日常生活の質を低下させる病気ですが、生命にかかわることはほとんどありません。ただし、症状が長びく場合や体重減少、貧血、便に血が混じるなどの症状がある場合は、ほかの病気の可能性を考慮し、医療機関を受診することが重要です。
(執筆・監修:自治医科大学医学教育センター 医療人キャリア教育開発部門 特命教授/東北大学大学院医学系研究科 消化器病態学分野 准教授 菅野 武)
[症状と頻度]
FDのおもな症状は以下のようなものです。
●胃もたれ
少量の食事でも胃が重く感じられる。
●早期満腹感
食事を始めてすぐに満腹を感じてしまう。
●みぞおちの痛みや灼熱感
空腹時や夜間に悪化することもある。
日本では成人の約10~15%がFDの症状を経験しているとされ、特に女性に多くみられる傾向があります。
[原因とメカニズム]
FDの原因は完全には解明されていませんが、以下のような因子が複雑に関与していると考えられています。
1.消化管の動きの異常
胃の運動機能が低下し、食べ物が適切に消化管内を移動しない状態。
2.消化管の過敏性
胃がわずかな刺激に対しても痛みや不快感を感じやすくなっている状態。
3.ストレスや心理的要因
不安やうつ状態が症状を悪化させる可能性があります。
4.生活環境や食生活
不規則な食事や脂っこい食事、アルコール摂取が関連する場合もあります。
5.ヘリコバクター・ピロリ感染
ピロリ菌感染やその除菌治療後の胃の変化が症状に関連している場合があります。
これらの因子が絡み合い、症状をひき起こしていると考えられています。
[治療と対策]
FDの治療では、症状に合わせた薬物療法や生活習慣の改善がおこなわれます。
1.薬物療法
●酸分泌を抑える薬
プロトンポンプ阻害薬(PPI)、カリウム競合型酸分泌抑制薬(P- CAB)
●胃の運動を改善する薬
アコチアミド、六君子湯、モサプリドなどの消化管運動促進薬
●神経調節薬
痛みの過敏性を抑える低用量の抗うつ薬など
2.生活習慣の改善
●規則正しい食生活を心掛ける。
●脂っこい食事やアルコール、カフェインの摂取を控える。
●ストレスを軽減するためのリラクゼーションを取り入れる。
3.ピロリ菌感染の対応
ピロリ菌感染が確認された場合、除菌治療がおこなわれることがあります。除菌により症状が改善することもありますが、すべての患者に効果があるわけではありません。
[注意]
FDは日常生活の質を低下させる病気ですが、生命にかかわることはほとんどありません。ただし、症状が長びく場合や体重減少、貧血、便に血が混じるなどの症状がある場合は、ほかの病気の可能性を考慮し、医療機関を受診することが重要です。
(執筆・監修:自治医科大学医学教育センター 医療人キャリア教育開発部門 特命教授/東北大学大学院医学系研究科 消化器病態学分野 准教授 菅野 武)