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脳内の血液の流れが悪くなり、頭痛や言語障害、意識障害のほかに、脳梗塞や脳出血を引き起こすこともある「もやもや病」。発症原因は明らかではないが、患者数は人口10万人当たり6~10人程度いるとされ、10歳以下の子どもに最も多く、成人では30~40代で多く発症する。厚生労働省の指定難病でもあるこの病気について、湘南慶育病院(神奈川県藤沢市)の鈴木則宏院長に聞いた。
もやもや病の特徴
▽頭痛や言語・意識障害が出現
もやもや病は日本で発見された病気だ。脳の画像検査で細かい血管がもやもやと煙が立ち上るように見えることから、こう名付けられた。脳に血液を送る内頸(ないけい)動脈という2本の太い血管の先端部が閉塞(へいそく)して血流が悪くなり、血流不足を補うために太い血管から枝分かれして新たな毛細血管が作られる。
異常に発達した「もやもや血管」は細くなって閉塞するため、血流不足を起こしたり(虚血型もやもや病)、破れて出血したり(出血型もやもや病)して、さまざまな症状を現す。
虚血型の場合、失神や脱力、手足のしびれなどが出現し、数分から数十分で自然に治まる一過性の脳虚血発作を引き起こす。小児患者の大半が虚血型で、熱いものを食べるときにフーフーと息を吹き掛けたり、リコーダーを吹いたりしたときなどに起こりやすい。一方、出血型はその部位によっても異なるが、激しい頭痛、体の片側のまひ、意識障害、言語障害などをもたらす。成人患者では半数が出血型という。
▽バイパス手術で脳梗塞を軽減
病気が進行すると、虚血型では脳梗塞、出血型では脳出血を引き起こす危険性が高まる。治療法として、まず薬物治療が行われるが、両タイプとも新しい血行路(バイパス)を作る手術療法を行うと、脳梗塞や脳出血の発症を減らす効果が期待できる。手術には、頭皮のすぐ下の動脈を脳の太い動脈に直接つなぐ「直接バイパス術」と、頭皮の下の血管や筋肉を脳に接着させて新しい血管が生えるのを促す「間接バイパス術」の二つがある。
最近の研究では、「RNF213」という遺伝子の変異が、もやもや病の発症に関係することが報告された。だが、日本人の70人に1人にこの遺伝子の変異があり、ほとんどは未発症なことから、遺伝子変異にさまざまな要因が重なって発症すると考えられている。鈴木院長は「一時的な症状であっても、失神や脱力が繰り返し現れる場合は医療機関を受診してほしい。脳ドックのMRA(磁気共鳴血管造影)検査でも発見は可能です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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