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小児から成人に移行する思春期には、性ホルモンの分泌により生殖器や外見的な性差が顕著になる。思春期早発症は、通常よりも早い年齢に思春期が始まってしまう病気で、時には他の病気が原因で発症することもある。東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)内分泌・代謝科の長谷川行洋部長は「思春期早発症は、脳腫瘍などの重大な病気が隠れていることもあるので、疑わしい場合は検査が必要です」と話す。
女児は小学校低学年、男児は小学校中学年以前に兆候が表れたら要注意
▽年齢不相応な体の変化
女児の思春期は10歳ごろ乳腺の発達から始まり、陰毛の発育や初潮が起こる。男児は11歳ごろに精巣の発達が始まり、陰毛や陰茎が発育し、ひげが生え、声変わりへと進む。思春期早発症は、これらが平均よりもかなり低い年齢で起こる疾患で、女児に多いという。ただし、思春期は個人差の大きい時期でもある。「目安として、女児の場合は小学校低学年以前、男児では小学校中学年以前に思春期の兆候が見られたら要注意です」と長谷川部長は言う。
思春期が早い時期に始まると、骨の成熟に拍車が掛かり早期に止まってしまうため、低身長になりやすい。また、周囲と自分の体が違うという違和感から、精神的なストレスを感じたり、周囲から嫌がらせを受けたりすることがある。特に男児の場合は、精巣の発達から始まるため分かりづらく、親が気付くまでに時間を要することが多いという。さらに「脳腫瘍や、遺伝的な疾患から思春期早発症を発症することがあります」と長谷川部長は付け加える。
▽性ホルモン抑制薬で治療
思春期早発症の検査は、外見上のチェックに加え、採血で性ホルモンや性ホルモンの分泌を促すホルモンの値を測定する。磁気共鳴画像装置(MRI)で、脳腫瘍などの疾患がないかも調べる。異常がなく、平均よりも多少思春期が早い程度なら個人差の範囲と見なし、特に治療は行わない。低年齢の場合や、将来の低身長や精神的なストレスが懸念される場合は、性ホルモンの分泌を抑制する薬を月に1回、または3カ月に1回注射し、通常の思春期が始まる年齢くらいまで継続する。脳腫瘍などの病気がある場合は、手術による切除など、元となる病気の治療を行う。
長谷川部長は「脳腫瘍などの病気が原因で思春期早発症を発症すると、急に思春期が進む傾向があります。早期発見と早期治療が重要なので、兆候を見逃さずに小児科を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/24 07:00)
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