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食事の際や口を開けたときに耳穴の前にある顎の関節や筋肉が痛む、「カクン」と音がする、口を大きく開けづらい―。こうした症状が表れたら「顎(がく)関節症」の可能性が高い。20~40代の女性に多い病気で、放置して重症化すると食事や会話に支障が出ることもある。
顎関節症のセルフチェックの方法
▽自分の行動が原因に
東京医科歯科大学歯学部付属病院(東京都文京区)顎関節治療部の西山暁科長は「顎関節症は人口の5~12%で発症すると報告されており、歯科で多い病気の一つです」と説明する。好発年齢は20~30代で、女性に多いとされる。西山科長は「女性の患者数は男性の2~3倍です。女性は骨格が弱く、男性よりも耐久性が低いためと考えられます」と指摘する。
顎関節症の原因は十分解明されていないが、「上下の歯を長時間接触させる癖が、病因として最も疑わしい」と西山科長。食べ物をかむとき以外、上下の歯の間には2~3ミリ程度の隙間がある。だが、顎関節症の人は、例えばパソコンを使った仕事を長時間集中して行うなどストレスがかかったときに、上下の歯をかみ続ける癖が出ることが多い。
西山科長は「上下の歯が接触する状態が長く続くと、顎の関節や筋肉に負担がかかり、顎関節のクッションである関節円板がずれたり、顎の筋肉が疲労を起こしたりして、顎関節症の症状が出ると考えられます」と話す。頬づえをつく習慣も、顎の関節に負担を与えるので要注意だ。
▽治療の基本はセルフマネジメント
西山科長はセルフチェックの方法を提案。この方法で顎関節症の疑いがあれば、早めに歯科医の診察を受けてほしいとしている。
治療の基本は、患者自身が病気をコントロール(セルフマネジメント)すること。「主治医から顎関節症と診断されたら、病気をよく理解した上で、主治医が勧めるセルフマネジメントに取り組んでほしい」と西山科長。セルフマネジメントとは、ストレスの多い生活習慣を見直したり、上下の歯を長時間接触させる癖をコントロールしたりすることで、これだけでも症状が緩和することがある。また、西山科長は「『顎を使わない方がよい』というのは誤解です。歯科医の指導の下、口を大きく開けるなどの運動療法により改善する例は多い」と強調する。
それでも症状が軽減しない場合は、顎の関節への注射や、中枢性の鎮痛薬による治療が行われるという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/06/09 17:00)
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