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気道が炎症を起こして狭くなり、せきが出たり、呼吸するたびにヒューヒューと音がしたりするぜんそく。発作がひどいと呼吸困難で死に至ることもある。炎症を抑えるステロイド薬の吸入療法が普及し、ぜんそくによる年間死亡者数はこの20年間で4分の1に減少した。近年、吸入療法などを行っても発作が出る重症患者に対する治療の選択肢も拡大している。
▽基本は吸入ステロイド薬
ぜんそくの治療では、発作が起きないように普段からステロイド薬の吸入療法を行うことが基本だ。重症の場合は、吸入ステロイド薬の量を増やし、他の複数の薬剤を併用して発作が出るのを抑えるが、それでも発作を起こす例もある。全国のぜんそく患者(推計約800万人)の5~10%が重症とされる。
選択肢が拡大する重症ぜんそくに対する抗体医薬
山王病院(東京都港区)アレルギー内科の足立満医師によると、重症患者には通常の薬に加え、発作時にステロイドの飲み薬や注射薬を用いる。ただし、ステロイドの吸入薬は、しわがれ声などの局所の副作用を除けば比較的安全に使えるが、飲み薬や注射薬を長期間使用すると、感染症や骨粗しょう症などの副作用が生じる可能性がある。
▽期待される抗体医薬
そうした中、重症ぜんそくに対する新薬が相次いで登場している。その一つが気道炎症の鍵を握る「IL―5」という物質の働きを阻害する「抗体医薬」というタイプの薬で、2018年4月にベンラリズマブ(商品名ファセンラ)が発売された。
IL―5は気道の炎症に関わる好酸球という白血球の産生を促したり、気道に集めたりする。普段の治療にこの新薬を追加すると、発作の回数を減らすことができる。
ベンラリズマブなどの抗体医薬について、足立医師は「専門医と相談して上手に使うことが大切です」と語る。薬剤費が従来の薬よりも高いことや、いつまで使用を継続すべきかが明らかでないといった課題もある。
また、重症ぜんそくと思われても実際は異なる病気だったり、吸入ステロイド薬の使用法が不適切だったりする場合もあるという。足立医師は「抗体医薬を使用する前に、そのような要因を除外します」と指摘。さらに「普段から吸入ステロイド薬を主体とした治療を確実に続け、良好な状態の維持を心掛けることが重要です」と強調した。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/06/11 06:30)
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